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『野球少年』に戻って熱戦=54歳以上OB全伯大会=マリンガで全力プレー

5月18日(火)

 ブラジル野球連盟(大塚ジョージ会長)主催の五十四歳以上・全伯OB野球大会が十五、十六の両日、パラナ州マリンガ市アセマ・マリンガ球場で行われ、サンパウロ州、パラナ州から選抜八チーム約百十人が参加、熱戦を繰り広げ、心地よい汗を流した。

 ブラジル野球連盟では、三十五歳以上はOBと見なし、年齢層毎に定期的な大会が行われている。最高齢の部では六十八歳以上の大会もある。
 戦前、戦後間もなくと何の娯楽もなかったころのコロニアでは野球は数少ない楽しみの一つだった。
 参加者中、最高齢の内田ジョンさん(七二)はいまも現役選手。「野球はずっとやり続けるつもり。それが、生きる楽しみになっている」と話す。
 ブラジルの野球はアメリカ人によってもたらされ、日本人によって広められた。そのため、現在の若者でも野球を行っているのは、日系の子供たちが多い。この大会も参加者のほとんどが日系人だった。
 大会初日のハイライト、パラナA対ノルエステ。同点で迎えた最終回裏、パラナAの攻撃時、ノルエステのピッチャー佐藤克郎さん(六一)は真剣な顔で審判に抗議した。三振を取ったはずが、ツーストライクと言われたからだ。結局そのまま試合は続けられ、ノルエステはさよなら負けを喫した。
 試合後、佐藤さんは「一生懸命やるのが大事。そうじゃないと教え子に示しがつかない」と苦笑い。
 二日目決勝はセントラル対キャピタルの顔合わせ。セントラルは斎藤パウロ監督率いる強豪チーム。選手には、かつてオールブラジルでプレーしていた選手数人に加え、現ブラジル選抜チームで監督を務める佐藤ミツヨシさん(五八)までいる。
 対する、キャピタルは木原ヨシノリ監督率いる〃努力〃のチーム。選手には、元ブラジル選抜の高木オズワルドさん(五六)、そして元甲子園球児も。
 高木さんと佐藤さんは、かつて同じ時期にオールブラジルでプレーしており南米大会でも三回の優勝を果たしている。
 一回、先攻のセントラルが、佐藤さんの本塁打などで六点を先制。セントラルがこのまま圧勝するかに見えた。しかし、その裏、キャピタルが三点を返した。ピッチャーの中星さんも好投を見せ、二回、三回と無失点に押さえた。キャピタルは二回に一点、三回には三点を返し試合を逆転。最終回、二点を追うセントラルの攻撃。ツーアウト一塁から満塁とし、一本長打が出れば逆転の場面、打った打球は高く上昇したが、センターが好捕し試合終了。十対八でキャピタルが接戦をものにした。
 この両チームは、前回四十九歳以上大会でも決勝でぶつかっており、セントラルが勝っているため、キャピタルにとっては雪辱となった。
 木原監督は「みんな楽しくプレーした結果」と、試笑顔で試合を振り返った。
 大会後、グランデ・サンパウロ・スルの丸高久さん(五六)さんは、審判のミスの多さを指摘。解説書の少ないブラジル野球の向上のためには「審判のレベルも高めることが重要。そして、今キューバからコーチを呼んで選手の能力向上が図られているが、早くブラジル独自の野球スタイルを作っていかなければならない」と語っていた。