5月18日(火)
ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)主催の懇談夕食会が十四日午後七時から、ジャルジンス区のインテルコンチネンタル・ホテルであり、オ・エスタード・デ・サンパウロ社の金城セルソ氏が「マスコミから見た日伯関係」と題して講演した。
金城氏は現在、同社「ジョルナル・ダ・タルデ」紙の編集長。勤続四十年という同氏は始めに、「六〇年代の大きな出来事として、六十四年の軍事政権誕生がある。その頃我が社が政権誕生に肩入れしたと、左翼から非難や嫌がらせを受けた。今度は逆に軍政体制を非難したときには、予備検閲なども受け、報道の自由を規制された」と回顧。
そして「七〇年代前半ブラジル奇跡の時代には日本からも、どんどん企業が進出して『ブラジルブーム』で賑わった。しかし七十三年の石油危機で、大量の外貨借り入れを余儀なくされた」結果、八〇年代の「失われた十年」を招いたと分析。「その後、二十年続いた軍事政権から八十五年には民政移管したが、ハイパーインフレ、ブラジル通貨の低落、経済停滞や失業増加などで日本企業からの投資は小規模になった」などと振り返った。
「九〇年代では、二十九年ぶりに直接選挙で選ばれたフェルナンド・コロル・デ・メロ大統領がインフレ対策や経済開放として『コロル・プラン』を打ち出したが、汚職問題のため二年で政権を失った」
ルーラ政権誕生一年半の現在は、「当初は経済の方向性が見えず、海外からの投資は少なかったが、オーソドックスな経済政策を実施しており、日本からの投資も少しずつだが、再び増えている。ただ、ブラジル・コストが依然高く、労働者を手厚く保護している労働法のため海外からの投資の障害になっている。今後のルーラ政権でも現状は恐らく変わらない」
最後は「現政権はブラジルに対し大型投資をしている中国に目を向けている。とはいえ、大きな経済圏であるブラジルや、メルコスールと日本はFTAを結んでおかないと、取り残されてしまうだろう」と提言し締めくくった。