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連立与党、現行経済政策を批判=投機の管理統制求む=生産優先の金融政策を=財務相「変更の必要なし」

5月20日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】ルーラ大統領の訪中によるアレンカール副大統領の臨時大統領就任に先立ち、同副大統領が所属する連立与党のPL(自由党)は十八日、現行の経済政策を痛烈に批判する声明を発表した。PLは声明文の中でメイレーレス中央銀行総裁を怠慢と糾弾し、投機の管理統制を求めた。声明文の起草には副大統領の考えも入れられたようだが、辛辣な言葉が数々みられた。
 大統領府はジルセウ官房長官の「政策総動員令」に続き、連立与党PLの辛辣な内容の爆弾声明に震かんした。PLは、経済政策の抜本的見直しを要求。雇用創出のために、短期の外国投資を管理統制して外資の流失を防げとした。
 副大統領は二十二日、大統領の訪中で臨時大統領に就任する。声明文の冒頭は副大統領の要請で、「ブラジルは史上最大の社会不安に瀕している」となった。過去の歴史を見ると、社会不安の原因は失業であるという。ナチスを生んだのも三〇年代米国の大不況も、原因は失業。経済政策の失政による失業と犯罪の多発は、由々しき事態にあると声明は警告した。
 PLは雇用創出のため、米国のニューディール政策導入を進言した。現行の経済政策は投機家を肥やし、野放しの金融システムで金融機関だけが我が世の春を謳歌していると同党は訴えた。基本金利引き下げにちゅうちょしている通貨審議会(COPOM)に対し、思い切った金利引き下げを求めた。
 金融政策をめぐっては、投機優遇から生産優遇へのシフト切り替えが選挙公約であった。政府は七百億レアルの財政黒字に、こだわる必要はないとしている。国際通貨基金(IMF)を始めとする国際金融機関に対する義務の履行は、雇用創出と生産増強、輸出拡大が前提条件であることを確認するよう強調した。
 声明文に署名をしたワウデマール・コスタPL党首は記者会見に応じて、中銀総裁は経済を窮地へ追い込んだ現行政策の責任者だと糾弾した。同党首によれば、中銀総裁は銀行家の利益を優先し、ブラジルの利益など眼中にないという。
 パロッシ財務相は、PLの外資管理要請を一蹴(いっしゅう)した。短期投機の外資を管理統制しなくても、財政収支は均衡しているという。金融政策を変更する考えがないことを、財務相は強調した。ブラジルが管理統制するのは、インフレ率をはじめとする経済指標だけだと述べた。
 基本金利の引き下げと生産優先の金融政策について、財務相はブラジル経済は、現在の条件下で成長可能とみている。現行政策の強化が、経済発展につながるという見方だ。外的要因に対しても現行のマクロ政策は適切であり、確実に輸出は伸び、体力を付けていると語った。
 工業部門の低迷脱出のカギは生産増強だと、財務相は強調した。外的要因に対処するためには国内市場の強化が必要だから、生産増強の可能性がある部門を集中的に育成する。長期展望に立った安定政策を採るので、財政均衡は最優先になるとした。