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海外の声 代表して=パラグアイの高倉道男氏=自民党公認候補に決定

5月21日(金)

 【東京支社】海外在住邦人として初の国政選挙立候補を目指すパラグアイ在住の高倉道男氏(六三)について自民党は、二十日に開いた選挙対策小委海外員会で高倉氏を公認候補とすることを決定した。同日午後、自民党本部で公認申請手続きをした高倉氏に対し、近く公認証書が授与される。在外選挙制度改革やデカセギ子弟の教育問題など九つの公約を柱に、国内外で選挙戦を展開していく方針だ。
 オイスカ・パラグアイ総局会長でもある高倉氏の公認に向けた活動を支援してきたオイスカ国会議員連盟は同日午前、東京都内の自民党本部での会合を開き、柳澤伯夫議員ら衆議四名、保坂三蔵参議院議員(オイスカ副会長)ら参議七名、議員代理十八名、中野利弘副理事長らオイスカ関係者四名、「海外日本人代表を国会に送る運動」北米部の大友八郎氏、高木ラウルニッケイ新聞社長ら関係者が参加しての会合だった。
冒頭の挨拶で柳澤衆議は、「高倉道男さんを是非、自民党公認として参議院選挙に推薦致したいと思い、今日の会合を開催してもらいました」と語り、この会合が高倉氏を励ます会を兼ねているとも述べた。
高倉氏の出馬に対して、出席者から好意的な励ましの言葉が寄せられた。
「二十一世紀は海外の中のスタンスをとることはとても大事なことです」(山際大士郎衆議院議員)
「パンフレットを読みました。ぜひ海外の声を代表して、政界に新風を巻き起こす活躍をしていただきたい」(城内実衆議院議員)
 司会をつとめる保坂参議は、同日十時半から選挙対策小委員会が開かれるが、ここで正式な公認決定がなされるだろうと語った。
 柳澤衆議は、保坂参議が高倉氏の公認を後押ししてきた経緯などについて語った。その背後には、他の議員たちの努力があったことを明らかにされた。そして「本日十時三十分から開かれる選挙対策小委員会が、自由民主党の来るべき参議院議員選挙の候補者のラインアップを決める最終場面であろう」と柳澤衆議は述べた。
会合は十時過ぎ終了。高倉氏は、参議院議員会館の保坂参議の部屋でその結果を待った。十一時半過ぎ、高倉氏のもとに公認決定が知らされた。三十二人目の公認候補となり、自民党本部玄関口で、マスコミ各社の取材を受けた。
 午後三時過ぎ自民党選挙対策本部で、公認申請手続き、広報などについての説明を受けた高倉氏。公認証書の授与は総理官邸で後日行われるとのことである。
 高倉氏は大分県大分市出身。明治学院大学経済学部中退。一九七六年パラグァイに移住後、八〇年に日本語新聞「日系ジャーナル」を創立。海外日系新聞協会前会長、オイスカ・インターナショナル・パラグァイ総局会長、「日系人代表を国会に送る運動」代表である。
 今後、ブラジルを中心とする在外邦人の在住国や地元大分県、デカセギ労働者を大勢抱える愛知県や群馬県などで選挙戦を展開する高倉氏。公約として①在外選挙制度の改革②日系二世三世の日本就労ビザの取得義務を廃止③出稼ぎ就労子弟の教育問題改善④在外高齢者の老年福祉年金の支給⑤二重国籍を認める⑥海外に対する総合的な日本文化戦略の確立⑦苦境に喘ぐ中小企業の海外進出を促進する⑧日本不登校児(十四万人)を南米で教育⑨海外日本人の安全対策の強化――などを訴えていくという。 (藤崎康夫)