5月22日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】中央銀行通貨審議会(COPOM)の基本金利(SELIC)一六%据え置き決定を、金融市場は中銀が国際金融不安の存在を認めたと理解して二十日、ドル通貨が暴騰した。ドルは二・五%上げて、三・二一二レアルへ。〇三年四月の水準となった。〇五年一月の先物金利は、年利一七・八%へ上げた。国庫が前日に売却した三百五十億レアルの国債は、はからずも最悪の事態を避ける結果となった。
通貨審議会(COPOM)が十九日、発表した基本金利(SELIC)一六%据え置き決定は、国際金融危機が由々しき事態にあることを中銀自身が認めたと理解された。金融市場の指数低下は、COPOMの決定に連結している。
投資家の半分は金利の〇・二五%の引き下げを期待し、残りは据え置きとみていた。決定に不満の投資家は、ドル買いに走ったと思われる。国庫が前日に三百五十億レアルの流通量を引き揚げてなかったら、傷はさらに深かったと予測される。
国庫は二十日も、国債の目減りを防ぐため売買介入を行った。昨日の国債は締めて、買いが売りを四億五千万レアル上回り、それが市場へ還流した。
二十日の原油国際市場は一・四%下げ、バレル当たり四十ドル九二セントに付け落ち着いていた。国際証券市場は、横ばいであった。国内投資家は、むしろ不安定な政局を案じている。下院議長の任期延長案で与党が敗北。所得税の年内見直し案が、下院税務委員会で承認されるなど政府の黒星続きが心配の種だ。
ニューヨークの国際金融筋は、市場をリードすべき中銀が市場に振り回されたとして、金利据え置き決定に不満の意を表明した。中銀は金融不安を解消する武器を持っていながら、金融市場の安定を損なったと厳しい評価を下した。中銀はインフレにばかり気を取られて、通貨の安定を疎かにしたという判断だ。
中銀発表にインフレに関する説明がないのは手落ちだと、国際金融がいぶかっている。据え置き決定に至った理由は、インフレが最も大きな根拠であったはずだという。中銀発表では、金融不安が据え置きの理由になっている。
国際金融が一月にブラジル市場へ全面的信頼を寄せたとき、中銀は基本金利の切り下げ休止を表明したので為替が安定したと理解した。今回の中銀決定は回復の兆候が見え始めた経済を、未熟なまま中絶しかねないと市場はみている。折角動き出した経済で成長率が低いならば外資の流失を招き為替率に悪影響を及ぼし、投資家の神経を逆なでにすると評した。
ラテン・アメリカ経済専門家の意見では、今回の金利据え置き決定は、ブラジルの通貨政策がインフレを制御しても、国際金融不安から影響を受けず一人歩きできないことを宣言したという。ブラジルは国際金融の亡霊に悩まされながら、経済成長と金利引き下げに取り組まざるを得ない。それは経済の足かせだけでなく、ルーラ政治にも悪影響を及ぼすとした。