5月26日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】ルーラ大統領は二十四日、胡錦濤国家主席と会談、双方は戦略的パートナー関係を発展させ、経済通商関係を強化することで合意した。国連安保理でブラジルの常任理事国入りを支持する旨、中国政府から正式に快諾を得た。ブラジル政府は人権問題について、中国の制度を前向きに理解することを承諾。また諸国が中国に対してセーフガード(緊急輸入制限)措置を適用し、貿易摩擦に発展したときには、ブラジルは全面的に中国を支持することで合意した。大豆だけは、両国関係の試金石となった。
伯中両国は大豆を除いて、大きな成果を得た。まず植物検疫と衛生管理、宇宙計画、農業用インフラ整備、犯罪協定、商業査証、航空機乗り入れ、スポーツ交流の七協定、そして、コークスや石炭、ボーキサイト、油田の試掘、火力発電所の建設、バイク製造など十四の合弁事業推進計画の調印が行われた。
中国政府から要請された貿易摩擦の際の同国全面支持は、同国が〇一年十二月に世界貿易機関(WTO)に加盟したことで、これまでの中国式貿易システムに反ダンピング法などの厳しい国際ルールが求められており、それに対応するためとみられる。
人権は国連で扱われるべき問題で、ブラジルは個別に深入りしない方針。二大国が通商条約を締結するときに人権問題を持ち出すのは得策でないと外相は述べた。まだ両国関係が海とも山とも付かないときは、人権を持ち出しても差し支えないという。
米国紙はこれまで、ブラジル首脳の動きに関心を寄せなかった。今回は各紙が、伯中関係をトップ・ニュースで扱った。元労組のリーダーが五百人の大型経済使節団を随行して、通称共産国と通商拡大を図ることに興味を持ったらしい。
米国の中国研究家は、ブラジルの期待過剰に警鐘を鳴らしている。南米の代表で天然資源の豊かな国として、ブラジルの大統領を中国は迎えた。しかし、中国には別の目的がある。対米関係への布石としてブラジルを利用すること、米国の覇権外交に対抗する伯中同盟と同研究家はみる。
一方、ちょうど大統領の訪中時に起きたブラジル産大豆の返品は、両国関係の踏み絵にされたようだ。農相が遺憾の意を表して、場を取り繕った。中国側の言い分では、中国で使用禁止の農薬で消毒した大豆が混入していたという。
しかし、マット・グロッソ州のマジ知事を初め大豆生産者は、輸出契約の一方的破棄で怒っている。高値を呼んでいる大豆の国際価格を叩くための、中国流の商法だという。安価に購入していたなら、問題は起きなかった。大豆生産者は、明らかに値切り目的のイヤガラセだと憤慨した。
中国が大豆を返品したことで、国際価格は二十七キロ入り一袋が十ドルから八ドルへ下がった。中国貿易では、この種のクレームは毎度のことで特に目新しくはないとされる。積み出しには双方の品質検査官が立ち会い、合格した上で出航する。中国側の検査官は、ブラジル側検査官を信用しているとして、再々立ち会いに欠席したと関係者は抗議した。