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通勤時間が”痛”勤時間に=低所得者層ほど長く=大サンパウロ市圏は平均1時間32分

5月26日(水)

 【アゴーラ紙二十五日】サンパウロ市労働扶助推進局がブラジルの大都市圏十カ所で実施した通勤時間・費用調査によると、大サンパウロ市圏に在住する労働者の平均通勤時間は一時間三十二分と十カ所中最高であり、通勤に費やす時間を労働時間に換算すれば、平均月給が二五・九%増加するという。
 同調査ではまた、一九九八年から二〇〇四年までの六年間に、大サンパウロ市圏の労働者の平均通勤時間は十四分間伸びたことも明らかになっている。九八年は一時間十八分だったが、〇二年には一時間二十四分まで伸び、〇四年には一時間三十二分という結果になった。
 〇二年の一年間に、大サンパウロ市圏の労働者六百九十五万四千九百十四人が通勤に費やした時間は計千百四十八年に達するという、興味深い調査結果も出ている。
 低所得層の労働者の多くは、郊外に住んでいるため、通勤時間が長い。通勤時に使う交通費は、一人当たり月に平均百十五・〇六レアル(一日に五・二三レアル)に上る。
 サンパウロ市は二時間バス乗り換え自由のビリェッテ・ウニコ(直訳=統一切符。フリーパス)を利用することで、一日の交通費が三・五二レアルまで減少し、月の平均は七十七・四四レアルになるとみている。
 「サンパウロ市内の企業の三分の二が市中心部周辺にあるというのに、不動産価格の上昇によって、貧しい市民は益々郊外で住居を抱えるようになっており、市中心部から離れるばかりだ」と、マルシオ・ポッチマン同局長は指摘。「食費や衣類費をカットできても、通勤時の交通費だけはどうしようもない」。
 企業は、従業員に交通費を支給することを義務付けられているので、会社から近い場所に住む人を優先して雇用する。「労働者は雇用されるために、自分が遠隔地に居住することを隠す」と同局長は話す。
 また、郊外など遠隔地に住む労働者が集まって、会社の近くに小さなアパートを借りて住み、週末に自宅へ帰るという現状も無視できないと、ポッチマン局長は言明している。
 大サンパウロ市圏以外の場所はどうだろうか? 〇二年度の通勤時間を比較すると、リオデジャネイロは一時間二十四分でサンパウロ市と同じ。次いでミナス州ベロ・オリゾンテの一時間十二分、ペルナンブーコ州レシフェとパラナ州クリチーバの一時間六分、残りの大都市圏は一時間以下である。同年の大都市圏十カ所の平均通勤時間は一時間十二分となっている。