ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 倒産企業元社員、再起に成功=組合設立し、新製品を生産

倒産企業元社員、再起に成功=組合設立し、新製品を生産

5月26日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】倒産企業の元従業員三百人が組合を設立して、これまで環境保護上の問題となっていた発泡スチロールに代わる製品、コルパジを生産して生計を立てている。大サンパウロ市圏のイタクアケセトゥーバ市に居住する元従業員の家族が、その話題の人たち。
 元従業員は組合コーペルカイシャを設立し、僅か二年で代替品を年に四十トン生産、組合の経営を軌道に乗せた。全てがトントン拍子に行ったのではないが、同業界で短期間にこれほど急成長した企業はない。
 同組合の前身は、八〇年から九〇年代にかけて盛業を誇ったパウリスターナ製紙で、九八年に倒産。同社に就労していた従業員は、機械技師のマジャロフ氏を中心に生産組合を設立した。
 組合員らは、同社が経営不振に陥った一年前から閉業後の再建について会社側と交渉していた。会社の倒産申請と同時に、組合は清算管理に入った会社の賃借願いを裁判所へ提出した。しかし認可が出たのは、三十二カ月後であった。
 裁判所の認可と同時に、同組合に新製品コルパジがお目見えした。同品のブラジルでの製造特許権は、クマック社が所有していた。同組合はクマック社と下請け契約を結び、同品を製造。〇一年十月一日に初出荷となった。
 コルパジのお陰で、組合は救われた。まず組合員六十人に帰還してもらい、放置されていた機械を修繕しながら生産を始めた。しかし、コルパジの生産が軌道に乗るまで、従来の段ボールも生産を続けた。
 組合は現在、十社に製品を納入し、年商が二千万レアルとなった。盛業時には、旧従業員が四百人いた。〇四年は生産量を六万トンに増産し、さらに五十人の組合員を呼び戻す予定。
 コルパジは段ボールに特殊加工を施し、輸送中のショックに耐える構造になっている。デリケートな電子部品の包装や運搬に専ら使用される。
 従来の段ボール箱の中に発泡スチロールを挟んで製品へのショックを防いだシステムは、環境問題を引き起こすと敬遠されている。EUでは、発泡スチロールの包装材としての使用を禁じている国もある。