「今更、日本の政治なんてね……」
在外選挙権についてコロニアで取材すると必ず、こんな返事が返ってくる。
遠く離れた母国の政治家が、ブラジルでの日常生活に利点を与えてくれるはずがない――こんな諦めが、これまで盛り上がりを欠いた原因だ。
今年七月の参院選では、サンパウロ総領事館初となる公館投票が実施される。手続きが煩雑な郵便投票と違い、足を運ぶだけで簡単に選挙権を行使できる。
また、身近な候補者が少なかったこれまでとは違い、パラグアイの一世が、自民党公認として海外在住者の声を、日本の有権者に訴える。
増加する犯罪や子弟の教育問題など、デカセギを取り巻く社会問題は、政治とも無縁でない。
手垢が付いた言葉だが「清き一票」を眠らせておくのは惜しい。(記)
04/05/28