6月1日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五月三十一日】保健省汚職を捜査中の連邦警察は三十日、製薬会社の闇カルテル(違法談合組織)は州や市の医薬品購入にも関与し、全国組織の大規模なものであることが盗聴記録から判明したと発表した。これら闇カルテルは、サンパウロ州やリオデジャネイロ州、パラナ州、セアラ州の入札において落札者を順番制で事前に取り決めていた。闇カルテルは不正資金の一定額を選挙資金として内部留保をし、議員に供与していた。
連警はヴァンピーロ(吸血鬼)作戦の一環で、保健省を舞台に暗躍した闇カルテル十七人の追跡捜査をしたところ、州や市の入札でも同様の不正取引が行われていたことが判明した。これら闇カルテルは事前に、落札価格や落札者を決め、その見返りや交換条件も打ち合わせた。組織は四州で、州や市などの入札予定表と落札者予定表も作成した。
連警の発表は自治体内部の共謀者には触れていないが、さらに省庁内の事件に関与した人物へ捜査が進むと思われる。不正に関与した疑いのある省庁職員や企業家、ロビイストらの資産を裁判所は凍結した。
不正取引は、血液財団のマルセロ・P・ピッタ容疑者が犯罪を企画した主犯と目される。クリスタリアのエドァルド・ジョブとアントニオ・カルロス、バックスターのエリアス・アブダラとラミス、アヴェンチス・ベーリングのアチリオ・アブラテ容疑者などが共犯者で、その他に企業家が多数関与したとみられる。
〇三年五月五日に行われたパラナ州の入札では、盗聴記録の通りに入札が行われたと検察庁が犯行経緯を明らかにした。引き続きサンパウロ市保健局の入札でも、同様に入札が事前に打ち合わされていたという。入札に闇カルテル以外のよそ者が入ると、グループは赤字価格を提示して排除した。
闇カルテルは前政権から現政権まで長期にわたって存在し、不正資金の一部を選挙資金として定率で内部留保していたことが判明した。選挙資金は、複数州の議員に渡された。不正資金を受け取った議員に対して、闇カルテルとの関係について追跡捜査が行われる。
これまでに保健省汚職で横領された金額は、二十億レアルに上がるとみられる。予算の執行で最も優先され、何もチェックされない医療資金を狙った犯罪といえる。政府の緊縮財政で大なたが振られた省庁予算の中、保健省は無傷だった。保健省の予算は、閣僚や長官の認め印だけで国庫から「無条件」に執行された。
公金横領はほとんどの場合、予算編成の段階で仕組まれる。多くの関係者が予算の成立から入札、落札と前もって根回しし、計画的に犯罪を準備する。〇四年の保健省予算は二百九十八億レアルが盛られ、大部分が統一医療保健システム(SUS)へ交付される。
闇カルテルが狙うのは、無料医薬品配布や研究用、透析用、血液製剤などの区分けが不明瞭な医薬品関係であった。この部門だけで年間二十七億レアルが動くため不正取引の温床となった。