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刑務所で集団脱走と暴動=人質一人を射殺、緊迫続く=開所後わずか一カ月の不祥事=リオ

6月1日(火)

 【エスタード紙五月三十・三十一日】リオ市北部のクストージア・デ・ベンフィッカ刑務所で二十九日午前六時ごろ、集団脱走と所内での暴動が発生した。
 同時刻、所内の服役者十四人が脱走した。脱走者は監視塔に押し入り警備員四人を負傷させた、その内の一人は四メートルの高さから地上に放り出され重傷を負った。さらに正門の警備員を拉致した後、所内の車四台を奪い脱走した。警備員と軍警が動員され、追跡の末撃ち合いとなって三人が取り押さえられたが残りは逃走した。
 この脱走を契機に刑務所内で暴動が発生、看守と従業員二十六人が人質となった。その内二人はすぐ釈放された。軍警機動隊が出動し刑務所を包囲したが、所内との連絡がとれず、暴動の動機や要求が判らず関係者に不安が広がった。
 同刑務所は開所してから一ヵ月しか経っておらず、九百人の受刑者が収容されている。回りは住宅街だが後方にスラム街がありさらに二つの公立校があることから、住民は治安の強化を要求していた。
 午後に入り、ようやく暴動を起こしたグループのリーダーから、弁護士と人権擁護団体の代表者との話し合いに応じるとの申し出があった。話し合いによると、暴動はコマンド・ベルメーリョと呼ばれるリオ市最大の犯罪グループによるもので、要求は対立グループの服役者を他の刑務所に移すことと、所内での待遇改善および今回の暴動の責任不問というものだった。
 しかし交渉の席上、同席していた人質の一人が服役者に後方から胸部を射たれる事態が発生、負傷者は病院に運ばれたが死亡した。これにより交渉は中断したままとなっている。暴動者側は、発砲は事故によるもので他意はなかったと弁明している。その後体調を崩した二人が解放されたが、二十一人は依然人質のまま。
 軍警司令官は、リオ州ガロチニョ保安長官に警官突入の武力行使を申し出たが、同長官はあくまでも話し合いによる解決を指示したという。
 

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