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県連=手続きで不手際=慰霊祭=仏式に戻す案は否決

6月1日(火)

 ブラジル日本都道府県人会連合会(中沢宏一会長)は五月二十八日午後、リベルダーデ区の沖縄県人会館で代表者会議を開いた。先日、日本祭りの実行委員会が決めた二、三世ら若い世代を取り込んだ組織体制が承認された。一方で県連の重要事業の一つ、移民の日の慰霊祭については県連内の担当委員会が、三年前までの仏式に戻すなどと提案。事前の根回しが全くない不手際さに「せっかく開かれた形式にしたのに」「根拠も提示しないのは何故」などと異論が噴出し、委員会の提案は反対多数で不承認となった。
 二〇〇二年に誕生した中沢体制に伴い、県連執行部では従来の慰霊祭のあり方を見直し、より幅広い層を集めようと様々な改革がなされた。
 従来はブラジル仏教連合会との共催のもと、仏式で行われてきた慰霊祭だが、中沢会長は「宗教の枠を取り払うことでより人も集まる」と宗教色の一掃を決定。〇二、〇三年には無宗教の形式で実施されてきた。
 また、移民の日に若い世代を招き、日系社会の原点を見つめなおしてもらおうと、幼稚園児らも多数招待。歌や楽器演奏を披露するなど、慰霊祭に彩りを加えてきた。
 この日の代表者会議で慰霊碑・上陸碑委員会の石川準二副委員長は、尾西貞夫委員長を中心に慰霊祭のあり方を再検討した、と報告。その上で今年から再び、仏教連合会との共催に戻し、子供たちも招待しないとの方針を提案した。
 また、慰霊碑の歴史的な由来を紹介する写真入りのパンフレットも合わせて二千部作成し、来賓に配布する案も出された。
 これに対し、各県人会長から異論が次々と出された。
 パンフレットについては、予算案も見積もりも石川副委員長が全く提示しなかったことについて、正監事でもある林アンドレー愛知会長が「具体的な金額が分からないのでは判断しようがない」と指摘。石川副委員長は、慰霊祭が十八日に迫っていることから、作成の承認だけでもして欲しいなどと訴えた。
 また、仏教連合会との共催にするとの提案では、「どうして子供たちを招待してはいけないのか」「二年前に全体で決めたことが、もうひっくり返されるのはおかしい」などと各県人会長が不快感を示した。林愛知会長は「討議の順序が間違っている。変更するなら、最初に理由を示すべき」と石川副委員長を詰問。石川副委員長は「慰霊碑は魂を奉っている場所。そういう場所でガヤガヤとお祭り騒ぎをするのはおかしい」などと委員会の見解を説明した。
 最終的に、委員会の提案は賛成十二、反対二十二で否決され、今年も従来と同様の形式で行われることが決まった。ただ、石川副委員長は代表者会議で承認を受ける前に、仏教連合会に今年の共催を打診。同連合会も了解している経緯があるだけに、各方面から県連の手続きの不手際さに不満の声が上がりそうだ。