イラクの混迷は続く。フリ―記者の橋田信介さんと小川功太郎さんが、サマワからバグダットに帰る途中に車を襲撃され死亡したの事件は痛ましい。犠牲となった二人はベテランでありルポを新聞などに発表しているし現地の危険さはよく知っていたはずなのに銃撃されたのは悲劇としか申しようがない。犯人像は今のところ不明ながら「反米」を掲げる派であるのは間違いない▼イラクで日本人の命を奪われたのは初めてだが、橋田さんは若いときから内戦や紛争地域の取材を続けてきている。犯行のあった現場はジャーナリスト仲間でも「最も危険な場所」であり、夕刻や夜間の通行は避けるのが普通だったそうだし、これまでにも米軍や外国人襲撃が何回も繰り返えされいる。この国の「反米」は複雑であり、単純に一本化されたものではない▼フセイン系統もあればアル・カーイダ派もいるし、シーア派もいる。邦人二記者を襲ったのが誰かはわからないけれども、テロ集団としてはビン・ラーデイン率いるアル・カーイダの組織と規模が最も大きい。旅客機を乗っ取り高層ビルに突っ込んだNYテロもそうだし、日本潜伏のバングラデシュ人幹部が逮捕されてもいる。そして―二十九日にはサウジでテロ攻撃を行い死者二十二人を出しており、このグループのテロが世界を恐怖に陥れている▼サウジは石油大国であり、日本も輸入原油の四分の一をお願いしている。「反米」もだがアル・カーイダが狙っているのは石油危機を高めることにあるの見方も忘れまい。 (遯)
04/06/01