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ハイチ国連平和維持軍 司令官に伯陸軍大将=各国派遣部隊を指揮=国連、アンゴラ派兵の功績評価=PT左派は内政干渉批判

6月2日(水)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙一日】ハイチ国連平和維持軍司令官に就任した陸軍のアウグスト・H・ペレイラ大将は三十一日、未来の偉大な国家の門出のために、ブラジル陸軍の先発隊百五十人が国連軍の指揮を執ると宣言した。六千七百人からなる国連平和維持軍の指揮を執る重要任務が、ブラジル軍に課せられたのは初めて。これまでに軍派遣を決定したのは、チリ、アルゼンチン、カナダ、ウルグアイといった国々。
 ブラジル陸軍は後続部隊を含めて最大規模の将兵一千二百人を派遣し、各国軍の複雑な利害が絡む国連平和維持軍の調整と指揮を執る。ブラジル軍はポルトガル旧植民地のアンゴラ共和国へ派兵したときの功績が、評価されたようだ。
 国連安保理常任理事国入りを目指すブラジルの思惑もある。PT内の左翼主義者は、他国への内政干渉と位置付けている。米政府が六五年、ドミニカ共和国へ派兵して軍事介入をしたときにはブラジル軍も同行し、米軍の軍事作戦に参加した経緯がある。
 ハイチ共和国の首都ポルトーフランスへ到着したペレイラ大将は、ハイチ派遣の国連軍司令官に就任した。同大将は軍務の遂行に先立ち、地域社会との円満な交流を将兵に指示した。
 ハイチ共和国の政権交代は、二十日ごろ行う予定となっている。現在は米軍の二千人を中心とするフランスやカナダ、チリなどの混成軍三千五百人によって、人口八百万人の同国の治安は保たれている。
 国連は六千七百人の派兵と警察官一千六百人の派遣を各国に要請した。後続部隊はチリが六百人、アルゼンチンが五百人、ウルグアイが二百人を派遣、六月末に現地到着の予定。その他に、パラグアイやボリヴィア、ペルー、ネパールなどが派兵を内諾している。
 ハイチの首都の治安維持に当たる米軍は、日焼け止めの赤い軟膏を顔に塗り防弾チョッキを着用して炎天下を徘徊する姿が異様だ。米軍がハイチ国に軍事介入して政権交代を強制するのは、二十世紀に入って以降これで四度目。
 前回は九〇年、前軍事政権を追放してアリスティッド大統領を据えた。今度は同大統領を下ろして革命軍に政権を渡すようだ。米政府の意のままに振り回される弱小国家の悲運を、前大統領が訴えている。
 ペレイラ国連軍司令官の副官には、カナダ軍のマックレオド大佐が就任する。
ペレイラ司令官は国連の意向により、ハイチで「刀狩り」を決行するらしい。平和維持軍は軍事介入だけではなく、人権活動や経済支援活動も含んでいる。
 これまでの軍事介入は、短期間の滞在で現地の事情に配慮をしなかったことが誤りであったと、国連は悟ったようだ。ペレイラ司令官はルーラ流に、国連軍はサッカーの親善試合に来たという。ボールを高めに送るべきか低めに送るべきかを検討していると述べた。ハイチ国民は、ブラジル流サッカーを理解できるだろうかと司令官就任の挨拶で述べた。