6月3日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】連邦警察はサンパウロ市で一日午後、中国人ロウ・キン・チョン容疑者を贈賄の疑いで逮捕した。同容疑者は警察当局から「密輸王」と呼ばれ、密輸したブランド品を販売している容疑で数年前から当局に追及されていた。
密輸品販売は大規模な犯罪のため国会でも取り上げられ、特別調査委員会(CPI)も設けられて当局と併行して調査が行われていた。これにより同容疑者経営のショッピング・センターや事務所の立入り検査が行われて数トンに及ぶ不法商品が押収され、同容疑者は過去二回にわたって逮捕されたが、いずれも証拠不十分と人身保護令の適用で釈放されている。
今回はCPIの執ような調査に堪えられなくなったロウ容疑者がCPI委員長のメデイロス下議に接近し、贈賄を持ちかけたという。同委員長によると、ロウ容疑者は百五十万ドルの現金と月々三万レアルの提供を申し出て、その見返りに調査に手心を加えると同時に、担当検事や刑事をロウ容疑者の息のかかっている者にするよう求めた。同委員長はこの交渉の現場を録画することに成功した。同委員長は応じる素振りを見せながら証拠固めに入った。手始めにロウ容疑者の代理人リンドルフ容疑者が第一回支払い額の三十七万五千ドルの手付け金として五万八千八百ドルを持参した所を現行犯で逮捕した。
ロウ容疑者はサンパウロ市ヴィンテ・エ・シンコ・デ・マルソ通りの自社ショッピング・センターを出たところを逮捕された。CPIと連邦警察本部は、同容疑者とサンパウロ連警や警察当局者との癒着が深いことから情報が洩れるのを避けるため、ブラジリア市から三十八人の警官を派遣し、逮捕した。連警は逮捕と同時に多額のドル紙幣とロウ容疑者が提供していたと思われる中国人女性のヌード写真を大量に押収した。
同容疑者は身柄をブラジリア連警本部に移されて取り調べを受けたが、同容疑者は、「メデイロ委員長は堅物で贈賄に応じないのは誰でも周知のこと」と容疑を否定した上で「これは悪質ないたずらだ」とうそぶいている。