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目立つ「不就学」対策急げ=外国人子女の教育環境調査=岐阜県可児市 報告書で提言

6月3日(木)

 ブラジル人在住者の多い岐阜県可児市で「外国人の子どもの教育環境に関する実態調査」が、厚生労働省の研究班と可児市、県、民間団体の共同で、二〇〇三年四月から、二〇〇四年三月まで半年づつ前期、後期の二回に分けて行われ、その報告書がまとまった。全世帯を訪問する形で調査を行うのは、全国でも可児市の例が初めてという。急速に「多民族社会」になっている日本。だが、外国籍者の教育環境に数多くの問題があることがこの調査からも明らかになっている。
 可児市には、二〇〇四年一月現在で五千百六十六人の外国人登録者がおり、市の総人口九万七千九百七十六人の五・三%を外国人が占める。調査対象となったのは、可児市に住む全外国籍の子どもたち。日本の学校だけでなく、ブラジル人学校などの外国人学校へ通う児童や、不就学の子ども含まれた。
 報告者では、可児市に在住する外国人の子どもの不就学者数は日本人よりも多く、前期で日本人一・二%に対し外国人が四・二%。後期では同じく一・二%に対し七・二%となっており、調査が行われている間にも状況は悪化していることが分かった。
 可児市には、ブラジル人学校があり、二〇〇三年五月一日現在で二百三十人のブラジル人が通っている。ブラジル教育省の認可を受けているが、授業料は月平均三~五万円に上る。さらに、制服費、教材費などが自己負担となっているため、制服が買えないなど、経済的な理由から不就学となる子も多い。
 報告書によると、不就学の理由は、前期結果で、一位・学習困難、二位・家庭問題、三位・経済面。後期結果で、一位・経済面、二位・学習困難、三位・家庭問題。家庭問題には、家事手伝いなど経済的理由も入ることを考慮すれば、前期でも経済的な理由による不就学が一位となる。
 調査は、研究班の小島祥美さん(大阪大学大学院人間科学研究科)が、一年間可児市の住民として暮し、長期継続的に外国人家庭と接しているため、彼らのおかれている実情がより詳細に報告されている。
 外国人児童の不就学については、親の教育への関心の薄さが言われるが、児島さんは「それは間違い」と指摘する。「子どもを思う親の気持ちは普遍的であり、国籍や民族の違いなど、みられません」。
 それよりも、親たちのおかれている不安定な就労状況や、外国人の子供の教育へ日本政府からの支援が消極的であることが問題ではないかと強調する。
 また、日本の学校教育にも原因があるとみる。学校で、周囲から「違い」を否定され不登校になる子や、「違い」を意識し、親や家庭で使われる母国の文化・言語を恥ずかしく思い、否定してしまう子供がみられるという。そこで、子供が「堂々と自分を語れるための学校教育」の必要性を小島さんは説いている。
 報告書では、調査結果から、外国人子弟の初等教育の保証、地域による継続的な外国人子女の教育実態調査の実施、そして外国人の法的位置付けの改善など、五つの提言を行っている。
 報告書は一冊七百円で販売されている。問い合わせは電話0574・62・1111(可児市まちづくり推進課)、あるいは0574・60・1200(可児市国際交流協会)。

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