6月5日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙四日】サンパウロ大学経済調査院(FIPE)は三日、ドル高と消費需要の回復で五月の物価上昇率が〇・五七%と四月の〇・二九%から倍増、過去八年間の最高水準に達したと発表した。予算管理省の応用経済研究所(IPEA)は年度末決算の締め切りに当たり、〇四年の予測インフレ率と基本金利を上方修正した。しかし、同時に経済成長率も回復基調にあることを確認した。
サンパウロ市で五月のインフレ率が、目標の〇・三五%を大きく上回った。ドル高に連動し為替率に最も影響され易い様々な要因が、物価上昇に反映したためとみられる。四月は同要因が、〇・〇六%上げたに過ぎなかった。五月にドルは、〇・八四%高騰した。
消費者需要では、食品と衣料が上位を占めた。特に食品の中でも生鮮果菜類は需要の増加よりも、霜害と降雨の影響で入荷が激減したことによる高騰が著しかった。食品の高騰は平均で一・〇五%、生鮮果菜類だけでみると二・二一%も高騰した。
衣料は第1四半期にマイナス〇・一九%と下げたが、五月に〇・二八%と上げ、しかも在庫が一掃された。
FIPEは、六月のインフレ率を〇・五〇%と予測。ガソリンと医療費など諸物価の値上げにより、最低でも〇・二二%とみている。十四日に予定のガソリンの値上げ率で、六月のインフレ率は変化する。一〇%値上げなら、インフレは〇・二五%。二〇%値上げなら、〇・四九%となる。
最近のインフレ攻勢は懸念されるが、統制管理は盤石。まだ年間インフレ率を五・五%から六%に押さえられると、FIPEはみている。五月現在、過去十二カ月間のインフレ率は四・四五%となった。
IPEAが三日、発表した六月の報告書は経済成長率は予測より好調だとしている。基本金利(SELIC)は第1四半期に一四・四%の目標であったが、一五・五%に止めたという。年間平均は、一五・四%から一五・九%に上方修正。経済成長率を三月の三・四%から、六月には三・五%へ引き上げた。
第1、第2四半期の経済成長率は予測を上回ったが、外的不安要因も増加したと報告。そのため年間成長率は、三・五%から三・八%の間で収まるとIPEAは予測している。
IPEAのインフレ予測は、工業製品や農産物価格の上昇、レアル通貨の下落、ガソリンの一〇%値上げを考慮して年間インフレ率を六・五%と算出した。国際原油価格の動向にもよるが、さらに続騰するなら目標インフレ率は、見直さざるを得ないとみている。
基本金利についてのIPEAの見解は国際金融の不安要因を考慮した結果で、引き下げ努力は継続するが、あくまで慎重に行う。何にも増して〇四年第1四半期の国内総生産(GDP)が前期比で一・六%増、昨年同期比で二・七%増と明るさが見えてきたことは安心材料とみられる。通貨政策と金利政策は、経済再生を妨げていないことが確認されたと結んだ。