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被告に120年6カ月の禁固刑=ショッピング内無差別乱射事件 「計画的かつ冷静に犯行」=弁護側の主張を一切認めず=サンパウロ市

6月5日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】〃ショッピング内無差別乱射事件〃として世間を震かんさせたマテウス・ダ・コスタ・メイラ被告(二九)の初公判で、サンパウロ市地裁のマリア・セシリア・レオネ裁判長は二日、百二十年六カ月の禁固刑をいい渡した。
 公判は三日間にわたって行われ、焦点は犯行当時の被告の精神状態に絞られた。弁護側は被告が麻薬を吸引直後に犯行に及んだとして精神が心神喪失状態にあったと主張し、情状酌量を考慮し、法で定められている、刑期の三分の一ないし三分の二の減刑を求めたのに対し、検察側はこれに真っ向うから反対した。
 同裁判長は判決で弁護側の主張を退け、検察側の求刑を全面的に受け入れた。判決いい渡しの中で同裁判長は「当初から犯行を目的として現場に行き、計画的かつ冷静に犯行に及んだ」とした上で「中産階級の恵まれた環境の家庭で犯行の動機がない」と決めつけた。
 同被告は九九年十一月三日、サンパウロ市にあるショッピング・モルンビーの映画館内で機関銃を無差別に乱射、三人が死亡、四人にひん死の重傷、十五人にけがを負わせた。警備員と警官が現場に急行、呆然自失の同被告を現行犯で逮捕した。
 ブラジルの現行法によると刑務所に服役できるのは最高三十年でその後は仮釈放処分となる。公判の弁論の中で検察側はこれに触れ、「かかる人道無視の犯罪者は一生禁固刑で終って当然」とし、現在同被告が留置されている刑務所が、上等処遇を受けているのに「もし彼が黒人や下層階級の人間だったら一般の刑務所に放り出されているだろう」と法の差別を指摘した。
 いっぽうで弁護側が弁論を始めると、傍聴席を埋め尽くした被害者の関係者の間から泣き声や怒声が出て、裁判長は幾度となく裁判を中断せざるを得なかった。
 しかし、裁判長が判決文を読み終えると万雷の拍手がわきおこった。次いで検察側から裁判長に花束が贈られた。
 同被告は現在収容されているサンマテウス刑務所で刑に服するが、これまでの拘置期間の四年半は減刑される。弁護側は判決を不服とし、控訴するとの表明している。

 

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