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ユネスコ犯罪白書 ブラジルの殺人、世界4位=犠牲者の4割は青少年=麻薬密売、武器密輸で急増=危険州はリオデジャネイロ

6月9日(水)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙八日】国連のユネスコは七日、ブラジルの十万人当たりの殺害犠牲者数が世界四位、十五歳から二十四歳の青少年で殺害犠牲者が、調査を行った六十七国中で五番目に多いと発表した。ブラジルの上位には、多い順にコロンビア、バージン島、エル・サルバドル、ベネズエラが続く。同年齢層のブラジル人、十万人に五四・五人が〇二年に殺害されたという。この年齢層の犠牲者が、他の年齢層と比べ最も多い。三分の二は黒人で、銃器による週末の殺害であった。
 〇二年の総殺害犠牲者数は、六二・三%増加して四万九千六百四十人。十万人当たりの犠牲者数では、世界四位。そのうち三九・九%が十五歳から二十四歳の年齢層であった。ユネスコが二年毎に発表する「犯罪白書」のブラジルのページでは、特に過去十年間で同年齢層の犠牲が目立つ。
 教育への予算は国内総生産(GDP)の五・三%に過ぎないのに、治安への予算はGDPの一〇%をつぎ込んでいる。犯罪のために費やす経費は、教育費の約二倍といえる。青年のための社会政策が急務だが、福祉的活動はあるが政治的活動はないと、同白書は報告した。
 犯罪対策としては抑圧的な活動よりも、教育などの予防的な活動がさらに必要だという。奨学資金の配布は、少年院の維持費より安価になるとしている。
 オズワウド・クルース財団のソウザ研究員は、同年齢層の犠牲者が八〇年代、麻薬密売と武器の密輸増加に平行して急増したという。徹底した銃器取り締まりが、不可欠と結論付けている。他に対策として組織犯罪への対処と司法制度の改善を挙げたが、政治的な善処がない限り改善もないとみている。
 同年齢層の犠牲者を人種別にみると、十万人当たり黒人が六八・四人に対して、白人が三九・三人と黒人は七四%も多い。都市別のランクではヴィトリア、レシッフェ、リオ、マセイオー、サンパウロ、ポルト・ヴェーリョ、クイアバ、アラカジュの順に犠牲者が多く物騒といえる。
 同年齢層の犠牲者を州別にみると十万人当たり、リオ州が一一八・九人、エスピリット・サント州が一〇三・七人、ペルナンブッコ州が一〇三・四人、アマパ州が八一・二人、サンパウロ州が八一人。
 犠牲者総数でみると、十万人当たり黒人が三四人、白人が二〇・六人。地域別にみるとアクレ州、ロライマ州、パラナ州は、白人の犠牲者が多い。ブラジリアは、黒人の犠牲者が白人の五倍と多い。自動車事故では、白人が黒人より多い。
 犠牲者総数を州別でみると十万人当たり、リオ州が五六・五人。ペルナンブッコ州が五四・五人。エスピリット・サント州が五一・二人。ロライマ州が四二・三人。サンパウロ州が三八人。
 政府は閣僚十四人を招集して、ユネスコの発表について善後策を協議した。ケイロス・スポーツ相は、青年らを余暇にスポーツ活動へ勧誘するプロジェクトを発表した。これまで青少年対策は後手に回ったことを認めた。銃器取締法も、まだ一部細則の審議で止まっている。