6月9日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】サンパウロ市内での新築住宅の販売が、今年の第1四半期の三ヵ月間に、昨年同期比で四五%の売上げ増を記録したことで、不動産業界は活況を呈している。しかし、一部は一時的な需要増との見方をし、長期的販売の安定を図るには政府の住宅対策が必要との見解を示している。
サンパウロ州不動産取引組合(SECOVI)が発表した本年度第1四半期の報告書によると、一月~三月で四千八百七十二軒の新築住宅が販売された。これは昨年同期の三千三百五十二軒に対し四五%の売上げ増となった。取引総額は十三億三千万レアル。売りに出してから販売に至るまでの期間は本年一月の十四カ月から三月は七カ月に縮小された。
これにより長年不況の煽りを受けていた業界は、ようやくトンネルを脱け出せると、今年後半の販売の伸びを期待する声が多い中、一部ではまだ「黄信号」の段階だと自重する向きもある。
同組合のベルナルデス会長代行は今回の売上げ増は取引総額でも分かる通り高級住宅の取引が主で、平均一平方メートル四千レアルであり、いわゆる上級階級の顧客が対象となっている。
実際に本年一月~三月に新しく売りに出された物件の総額は十二億六千三百万レアル相当の三千八百五十六軒で、その内の五五%は、寝室が四部屋ないし五部屋ある高級なものである。
不動産販売が安定するには国民の大半を占める中産階級や低所得者の需要が必要だとみられている。しかし現実にはこれらの人々は失業への不安と銀行金利の高騰などから長期ローンでの住宅購入に踏み切れないでいる。例えば最低給料までの階層にとってマイホームは夢のまた夢である。
寝室が一部屋の住宅は販売不振から長い間新築がストップしていたが、ここにきて再開された。しかし、二百五十二軒の物件は平均一平方メートルあたり四千百三十三レアルとなり、寝室二部屋のそれより二千レアルも高値となっている。これを六十平方メートルの土地に建築すると売値は二十四万レアルになる。
同会長代行は、政府や金融機関の住宅購入を目的とした低金利融資などのインセンチーボが絶対必要だと強調している。