6月9日(水)
在サンパウロ日本国総領事館(石田仁宏総領事)、茶道裏千家ブラジル・センター(林宗慶代表)、ブラジルいけ花協会(田中エミリア会長)は、四日午後七時からレアル銀行サロンで「日本週間開会イベント」を行い、併せて「茶道裏千家ブラジル・センター五十周年記念展示会」と「いけ花協会合同花展」、「『道としての日本文化』出版記念会」を催した。会場提供はレアル銀行。
雨にもかかわらず、五百人分用意したパンフレットは全てなくなり、主催者の予想を上回る客が会場を訪れた。会場では、『道としての日本文化』の中で紹介している書道や歌道など、日本文化関連の作品の展示や二天武道研究所による武道のデモンストレーションが観客の目を楽しませた。
邦楽グループによる「春の海」の演奏でイベントが開幕開会し、レアル銀行社長のファビオ・コレッチ・バルボーザ氏、吉井弘国際交流基金サンパウロ文化センター所長、上原幸啓文協会長らが訪れ、サンパウロ市市制四百五十周年、ブラジル裏千家五十周年を祝った。
上原会長は「ブラジルは多文化民族の国になりつつある。このイベントは日系社会がブラジルの新しい国づくりに貢献する、大変意味のあるもの。日本移民百周年を目前にして、残っている一世はわずか五%。日系社会とブラジルが一緒になって一世の老人たちをhomenagem(尊敬、顕彰)したい」と挨拶した。
石田総領事は「総領事館だけではできない立派なものになった。日本週間は八月まで続きます。みなさんにぜひ足を運んでいただきたい」と語った.
林代表は「本がやっと出版になって、とにかくほっとしている。総領事館、特に渡辺領事には力強くバックアップしていただいた。ブラジル裏千家の五十周年記念行事は今後もまだまだ続きます」と話した。
同センターは会場に特設した茶室で点前を披露したほか、茶道の小道具や写真パネルを展示した。パネルは、茶道の本来の流れを伝えるために、客が茶室を訪れる所から亭主が茶を振る舞い、客が帰っていくまでの一連のもてなしの様子を写真と日本語・ポルトガル語で説明している。
去年の始めからこの日のために準備を進めてきた田中会長は、「ブラジル人からもお褒めの言葉を頂き、いけ花の真髄をますますブラジル人に伝えることを使命と感じています」と話した。会場には会員百十人の作品が展示され、招待客は一つ一つ食い入るように眺めていた。
出版記念として招待客に贈られた『道としての日本文化』は、美しいカラー写真を使って九つの日本文化を紹介しており、サンパウロ市市制四百五十周年を記念して、いけ花の背景にサンパウロ市の町並みを入れるなど工夫されている。
茶道裏千家中南米地区普及五十周年記念推進委員会の委員長、エリソン・トンプソン・デ・リマ・ジュニオルさんは「日本文化は精神的な深みがあってとてもいい。本は一生記念として残るもの。日本文化に興味を持つ人が増えるように日本文化入門の門を開いた。これを読んでもっと深めたいと思う人が増えればうれしい」と同書に対する思い入れを語った。
招待客は「こんなに盛大なのは日本でもなかなか無い。会場がオフィス街なのでブラジル人が訪れやすい。ブラジルで普及した日本文化には、日本の作法では考えられない所もあって、肩の凝らない気楽な感じ。そういう所が良さかもしれない。みなさん大変一生懸命で、これからも続けて勉強してほしい」と感想を話した。
レアル銀行では、一般客を対象に九日まで日本文化の展示やデモンストレーションが続けられる。