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児童100万人が未就学=NGO、国連に報告=56万人は家政婦として就労=発育期の心の傷憂慮

6月12日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十一日】ブラジルで十四歳以下の児童百万人が勉学の機会を与えられず、それは児童憲章に抵触するというNGO(非政府団体)の報告書が十日、国連へ提出された。また国際労働機関(ILO)はブラジルで、十七歳以下の児童の五十六万人が家政婦として就労と報告した。世界レベルでは一千万人の児童が、他人の家庭で奴隷同様の条件下に就労しているという。ほとんどは女子で無給、体罰は日常化し性的暴行もあるとしている。
 ジュネーブの国連人権委員会が受け取った報告書によれば、ブラジルで八歳から十七歳の未成年五十五万九千人が毎日十五時間、他人の家庭で祝祭日もなく就労しているという。ほとんどは無給で、殴打や侮辱、差別は日常化し、性的虐待を受けた例も少なくない。
 長期間にわたり名前で呼ばれることがなく、本名を忘れた児童も多い。発育期の虐待は精神的障害をもたらし、歪んだ人生観を育み、一生心の傷を負って生きることになると報告書は語る。世界一多いのはアフリカの二百十万人、次いでインドネシアの七十万人。ブラジルが第三位と、誇れない数字となっている。
 児童を使役する主人は、貧困家庭への援助と考えている。餓死寸前の児童に食物を与え、代償に使役していると思っている。幼い子供を奉公に出す親は、雑草のような生命力の強い人格が形成されると思っている。後進国社会では、一般的にこのような考え方が定着している。かん難は全ての人間を珠にするわけではないと、報告書はいう。
 一千万人の未成年就労者は中南米、アフリカ、アジアの貧困地域に集中している。ほとんどの国で政府は、貧困家庭の児童への学校教育に力を入れていない。他人の家庭で奴隷的虐待を受けている児童は、第三者の目に止まることはない。社会も関心がなく、この問題を見落としている。
 国連は九月にブラジルの実情調査を行う。前政権の状況と現政権での進展を比較、確認する。ブラジルは児童憲章に署名し国内法でも児童擁護をうたっているが、現実と計画が掛け離れているというのが国連の見方だ。
 ブラジルの九百万世帯は、最低賃金の四分の一以下の所得を得ている。その家庭の児童が全児童の二三%、千四百万人は児童憲章の枠外にいると国連はみている。下層階級の七歳から十四歳の児童では九・二%が、通学せずに識字が困難。その数は百九十万人に上る。
 さらに報告書は暴力について、八八年から九〇年に十七歳以下の未成年者が四千六百人殺害され、一日に四人が殺害されたと伝えている。殺害犠牲者の五二%は、軍警または民間警備員によるものという。少年院には〇一年、九千五百人が収容され、その五一%は未就学であったとされる。
 国連は政府に対して、報告書のこうした内容について、どんな対策を施し、どんな成果を挙げてきたのか納得行く説明を求める構えだ。ミランダ人権担当相はNGO報告書が、政府が関知しない民間団体によって作成された事実に反するものと反論した。