6月15日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十四日】サンパウロ市で十三日、開催された第十一回国連貿易開発会議(UNCTAD)では、中南米への直接投資がここ四年間に半減したと発表された。特にブラジルへの投資は、三九%減と最も減少した。投資減少の理由は欧米経済の冷え込みと中南米諸国の公社民営化がほぼ終了、アジア経済に比較して中南米経済が低迷したことが挙げられた。中南米経済の失地回復のため、農産物補助金も重要議題として扱われた。
中南米への直接投資は、九九年の千九十億ドルから
三年連続で下げ、〇三年は四百九十億ドルと五五%減も下げた。中南米への投資の割合も同期間に、四八%から二八%へと下げた。九〇年代に行われた公社の民営化もほぼ終了し、中南米地域の経済成長率が平均で一・二%と、アジア地域の六・二%に比較して低調であったためとされる。
中南米地域の失地回復のために、教育システムの改善が迫られている。アジア経済成長の陰には、労働者の質の向上と技術革新のあることで認識が一致した。しかし、〇五年には八三%の企業が業績を回復し、経済成長率は平均で三・七%と、九七年の水準に戻ると専門家は予測している。
UNCTAD最大の焦点、国際貿易機関(WTO)で解決を迫られている農産物補助金問題が、俎上に上がった。難航していた同件は、米国とEU代表が補助金廃止で交渉の机についたことで進展があったと、アモリン外相はみている。同問題に最も関心の高いブラジルとインド、オーストラリア、米国、EUの五カ国代表によってNG5が設置され、集中討議が行われる。
NG5の立ち上げは、七月期限のWTO新ラウンド枠組合意に向けて大きな前進という。NG5準備委員会は十三日、二十一日に具体案を提示する旨通告した。一筋縄で行かない米国とEUを向こうに油断はならないが、双方交渉の途上にあり一歩一歩進めて行くだけと、外相は前向きに締結に向けた抱負を語った。
ゼーリック米通商代表(USTR)にとって農産物補助金は、米大統領選を控えた農業者団体との兼ね合いと戦略物資の扱いで、最も頭の痛い問題であった。UNCTADでは国内市場においても同様の農産物補助金廃止が求められ、その他の関税削減交渉と同時決着が予定されている。
UNCTADは十六日、アナン国連事務総長の提案で各国政府と企業家、国際団体で構成し同時進行する商品流通フォーラムの結成を行う予定。UNCTADは、特に国際メジャーの農産物買い占めによる国際価格の操作を懸念している。フォーラムは国連の独立機関として、問題を総括的に扱う部門と各国間の調整を行う二部門からなる。フォーラム議長候補に、カルドーゾ前大統領の名前が挙がっている。
一方、EUメルコスル個別閣僚会議は十三日、関税特区を設けることで合意した。EUは農業分野で、ブラジルは政府需要の一部を残して、ほぼ合意に達した。EUメルコスル協定は最後の一押しまで、こぎ着けたといえそうだ。