「世界はさらに不平等の度を増した」。国連貿易開発会議(UNCTAD)の総会がサンパウロ市で開幕。それに合わせ来伯しているアナン国連総長が十二日講演し、四十年の歩みを振り返った。
第一回総会で米帝主義と進歩の理念を痛烈に批判した男を思い出した。キューバ代表チェ・ゲバラである。十四日は彼の誕生日だった。生きていれば齢七十を超える。
ブラジルでクーデターが発生したのは六四年総会から数日後のこと。その軍政下では容易に許されなかったろう、同性愛者らのパレードが十三日あり、サンパウロ市民百五十万人が集った。もはや差別・偏見を受けっぱなしのマイノリティーではない。
かくて世界は不平等を広げつつも、ある部分で溝を埋めている。時代は動く。四十年前の東京オリンピックで灯り、十三日、リオ市街を駆けた聖火の輝きだけは変わらなかったとしても。(大)
04/06/15