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一筋でない中国貿易=当てにならない消費市場

6月16日(水)

 【ヴェージャ誌】ルーラ大統領とその一行が中国市場に惚れ込んだのとは裏腹に、今回の大豆返品でブラジルの輸出業者は、中国貿易の難しさを身に染みて感じたようだ。中国からは四雙分合計で二十三万九千トンの大豆が農薬で汚染された大豆が混入していたといって返送された。
 同時にEUへ輸出された大豆は、一キロにつき三粒までは農薬汚染を許容された。中国の場合は、許容量ゼロという類例のない厳しい要求であった。昨年は四十億ドルの貿易黒字をもたらした大豆輸出に、暗雲が立ち込み始めた。
 中国が返品を決定した時点では、大豆の国際価格はトン当たり三百六十ドルであった。その直後、三〇%暴落した。現在は二百六十ドルに持ち返した。しかし、中国は輸出契約の破棄を示唆して、まだ大豆価格の揺さぶりをかけている。
 価格を値切るための中国商法であることは見え見えだが、どこで手を打つかはブラジル側業者の正念場といえそうだ。積み残し分の大豆についても、価格の再交渉を行う魂胆のようだ。輸出業者は、許容量ゼロを簡単に容認した大統領一行の軽率さを非難した。大統領は帰路、交渉の拙劣さを後悔したようだ。
 今回ブラジルが学んだ教訓は、中国貿易とは春巻きのような上品で美味な友好関係ではなく、腕相撲のような力の関係の上に成り立つということだ。経済成長率九%を誇る有望市場は、欧米にとっても羨望の的。誰もが中国市場への参入にはしのぎを削っているが、簡単でないと分かった。
 中国市場へ参入するために諸国は〇三年、五百億ドルを投資した。中国で成果を得るには、それだけでは焼石に水であることが分かった。中国市場はバラバラで、まとまりがない。物流機構がないに等しく、中国内の流通は期待できない。
 中国の消費習慣は特異だ。中国人の会話は、あいまいで理解し難い。中国人は本心を見せない。中国人の考え方や商習慣を詳しく研究しないと、底無し沼に引きずり込まれる。
 これまで中国へ投資した先進国の企業を調査すると、ズルズル投資をして抜けるに抜け出せずにいる。撤退するには、つぎ込んだ全てを捨てて行くしかない。大赤字を出して、本社を潰した企業さえある。
 米商工会議所の調査によれば、中国へ進出した米企業の四分の三は、当てが外れて後悔している。米企業はどこも、先細りの収益とシェア縮小に悩まされている。中国で成功するには中国人の安価な人件費を利用するだけで、中国の消費市場を当てにしないことだ。