6月16日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】米国の連邦捜査局(FBI)が、個人の身分証明で最も信頼性が高いという瞳孔識別器の生産を、ブラジルの企業に注文している。
瞳孔の読み取りソフトを開発したのは、ポリテック・インコーポレション。同社役員の一人ニュートン・アラルコン氏は、何でも疑うのはブラジルの日常だと話した。海外の技術を導入してブラジルで実用化できるものは、まだ沢山あると同氏は述べる。
科学理論の実用化が求められているのは、FBIばかりではない。米海軍にも、ブラジルで開発された技術が多数起用されている。同社は米国の入札に参加するため、七〇%ブラジル人出資の米国現地法人を首都ワシントンに設立した。
同社が米国で落札したプロジェクトは、ほとんどブラジル国内で推進された。ブラジルには、有能な人材と高度の技術がある。さらに人件費は、米国の三分の一という有利な条件がそろっていると、同氏は語る。
身分証明のための識別法は現在、色々ある。瞳孔識別は指紋識別より、はるかに精巧で管理費も安価になる。顔写真による識別は整形手術で、いくらでもごまかせるようになった。
瞳孔は生後七カ月で完成し、死ぬまで変化しない。
瞳孔の識別は数字で表しコード化され、本人の瞳孔は二つとも同一。しかし、他人が同じ瞳孔を持つ確率は、一京分の一だという。
瞳孔識別ビジネスについてはテロの頻発化により、米国以外のメキシコやベネズエラなどの国々からも問い合わせが多い。同社は過去五年間、年々三〇%増で業績が上昇した。今度は銀行の自動支払い機(ATM)による現金引き出しにも、瞳孔読み取りによる預金者の確認を行うことを計画中。