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「投資円滑化」先導へ=UNCTAD 日本側提案=大使、日系社会にも言及

6月16日(水)

  【既報関連】サンパウロ市のアニェンビー国際会議場などで開催されている国連貿易開発会議(UNCTAD)総会で十五日午後三時から、山崎隆一郎国際貿易・経済担当大使が七分間演説し、日本からの提案を行った。
 まずアナン国連事務総長ら列席者に挨拶した後、「我が国とブラジルはその地理的な距離にも関わらず、伝統的に極めて良好な友好関係を維持してまいりました。そして、その原動力は、日本の国外において最大規模である、約百四十万人にのぼる在ブラジル日系社会の存在であります。ここサンパウロを始めとして、多数の日系企業が活躍している次第であります。我が国の今次総会への参加は、未来に向けて一層の交流拡大の契機となるものと確信しております」と日系社会を顕彰した。
 この中で「投資円滑化ジャパン・イニシアティブ」を提唱した。APEC各セミナーやUNCTAD、その他国際機関の協力を得て、投資に関するセミナーを来年二月から三月の二日間、東京で開催するもの。投資環境に関するビジネス界の要望や、最近急速に進展しつつある二国間・地域間の投資ルールのメリットについて意見交換を行ない、経験を共有する良い機会を提供する。
 さらに、途上国が多角的貿易体制に参画するための取組みを発表した。その一つとして、WTOのドーハ開発アジェンダ・グローバル・トラスト・ファンドに、新たに約八十万ドルを拠出することを表明した。
 山崎大使は、「今次総会は、開発が中心テーマとなっている今次WTOラウンドにおける交渉前進へ向けた建設的な信頼構築の機会として、大きな意義があるもの」と位置付け、「今次WTOラウンドについては、我々に残されている時間は刻々と少なくなってきています。我々の共同責任として、合意を達成できなかった場合は、多角的貿易体制において将来に与える悪影響は甚大なものがあるでしょう。野心の高い合意を達成するために、各国が切迫感を持って、合意形成に向けて努力を傾注するよう呼びかけたい」と強いメッセージを途上国グループへ投げかけた。