ドウラードス日伯文化体育協会(南マットグロッソ州)から、創立五十周年記念誌を送っていただいた。21×30センチ大、二百七十二ページの大冊。ページをめくってみて、少し驚いた。日本語がなかったからだ。ほぼ完全に消えていた▼祝辞のごく一部と広告欄にわずか残っていた。広告は、会員のファミリアを紹介したものがあった。日本人一世の名の表記は当然のように日本語。これは、オメナージェンだろうと察した。日系団体が、創立後五十年を経、移民の後続がないとなれば、この記念誌のようになるのは十分に予想されていた▼しかし、面白いものだ。記念誌の中味は、従来の日本語の編集手法が踏襲されているのである。あいさつ、実施した五十周年記念行事(の紹介)、会員名簿、草分け四十七人の紹介、写真で見る五十周年祭典、写真でみるクルベ(協会のこと)の歴史―など▼草分けはすなわち功労者である。この紹介に最もページ数を割いている。まるで、一世が編集に携わっているようだ。「これは血だ」と言いたくなる。次の何十周年かの記念誌が発行される時も、このスタイルは続いていきそうな気がする▼南マ州への日系人の大勢の入植は、サンパウロ州、パラナ州などに比べて新しい。ただ、若い日本人一世が多数入植したのではない。主力はむしろ少壮二世だった。だから、日本語が早い時期になくなっても不思議でなかった。ともあれ、創立五十周年おめでとう、記念誌発行よかった、おめでとう。(神)
04/06/18