6月19日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】サンパウロ州の初等教育を受ける学童の学力水準が最低基準をはるかに下回っている。これは教育省が十六日明らかにしたもので、過去三年間で学力は向上してきているものの、求められる水準には程遠いとしている。これは州立、市立、私立校いずれも同じ傾向にあり、背景には教育(学校)設備や器材、教育(社会)環境、教師の質の問題などが横たわっている。関係筋は、家庭内での教育への理解や、落第などを原因とする不登校が多いことに注目しており、教師の給与などの待遇面と合せ、早急な対策が必要だと指摘している。
同省の調査によると、初等教育八年間でポルトガル語の最低水準を全うした児童はわずか六%で、数学は七%だった。四年生のポルトガル語の試験結果をみると、昨年は五五・四%が一部の文章(節)は理解するが、全文章は把握できないという結果がでた。〇一年にはこれが五九%だったので少し上向いたことになるが、テスト平均値が百六十九・四ポイント(二〇〇一年は百六十五・一ポイント)で、同省が最低指数としている二百ポイントに満たないありさまとなっている。この水準が八年生の卒業時点まで続くため、大半が最低限覚えなければならない事を習得せずに卒業してしまうことになる。
全国の統計をみると、小学校入学前の一年間に事前教育を受けて入学した学童は、四年生の時点で(事前教育を受けずに直接入学した学童に比し)二十ポイントの差をつけている。また同学年で図書館を利用している学童の学力は二十八ポイント高い。また、不登校や落第で留年した生徒は現役組にそれぞれ三十四ポイント、二十三ポイントの遅れを取っている。
生徒の学力不足を補うべき教師にも問題がある。一年生から四年生までの教師のわずか三六%、五年生から八年生までは三三%が大学卒で、いずれも古い教員免許を持つ教師が大半を占めているという。