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今、勢い YOSAKOIソーラン(4)=日系社会の求心力になるか=礼で始まり礼で終わる=グルポ・V・アルテ爽やかな春の感じ

6月19日(土)

  「何で参加しようと思ったの」。
 「ダンスの勉強になるし、それに見てる人が喜ぶから!」。
 こう答えたのはジャナイーナ・クリスチーナちゃん。九歳の子どもが「人が喜ぶから」という言葉を口にしたのには驚いた。
 Grupo Vida e Arteの指導者は簾田武志さん。二〇〇一年バトントワリングのブラジル代表監督として来伯。中学、高校と大阪のPL学園に通っており、その縁で現在PL教団の子供達にもバトンを教えている。
 その子ども達や、駐在員の子ども、それにバトントワリングのブラジル代表メンバーが加わり、総勢八十八人、今大会最大のグループだ。非日系人が多く、約八〇%にもなる。
 彼らのチームの練習は礼で始まり、礼で終わる。PL式にお祈りするのだが、ここには「日本人の心を伝えたい」という簾田さんの思いが交じる。
 「礼で始まり、礼で終わる。その間は、指導者に対する尊敬の心を忘れない」。この相手を敬う気持ちが、日本がこれまで世界で発展することができた一つの要因だと彼は考える。
 昨年簾田さんが、ガルヴォン・ブエノ街を歩いていたところ、たまたま第一回ヨサコイ大会のパレードに出くわした。北海道に住む友人がヨサコイの先生をしていたため、懐かしく思いながら見ていた。
 「ヨサコイは集団競技だから、ブラジル人には向かないかもしれない」と思ったが、「集団でやるから、〃人に合わせる心〃をブラジル人にも伝えられるかもしれない」と考え、簾田さんは今回の第二回大会に応募した。「メンバーは、取り敢えず申し込みをしてから集めた」と笑う。
 ブラジル人の子ども達は簾田さんの心配とは裏腹に、「みんなで踊るのは楽しい」と話す。
 Grupo Vida e Arteの用いる曲は、爽やかな春の感じがする。振り付けはバレエ、ジャズダンス、ヨサコイをミックスし、曲の途中にはバトントワリングも披露される。
 「もっと日本的な踊りをやりたいですけど、それでみんなが踊りがいやになったら嫌ですし、それにブラジル人らしくもっと自由に踊らせてやりたい」と簾田さん。でも、「全員鳴子を使用して演技をする」そうだ。
 PL教団には、『自他祝福』という教えがある。
 クリスチーナちゃんが、言った言葉もまさにこの精神にあたる。
 「ダンスの勉強になるし」とは自分にとってよいことであり、「それに見ている人が喜ぶ」とは、同時に周りの人にとってもよいことである。
 実は簾田さんはブラジル生まれ。両親が仕事でブラジルに滞在していたため、生後八カ月までモジ・ダス・クルーゼスに住んでいた。だが、ブラジルは生まれた場所だと言う特別な思い入れはなく、一つの国として「手助けするためにやって来ました」と語る。「この国に日本のよいところを伝えることによって、この国をもっとよくしていきたい」。簾田さんも自他祝福の精神でここブラジルまでやって来たようだ。つづく。

(米倉達也記者)
(ブラジルYOSAKOIソーラン実行委員会電話番号11・287・4199)

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