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NGO団体 公的資金を不正流用=被害額20億R$に=監査義務なし、ずさんな会計=つかれた連邦令の盲点

6月22日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】連邦会計検査院(TCU)と検察庁は十九日、諸省庁から第三セクター(官民経営組織)を装った非政府団体(NGO)へ不正に大量の公的資金が流用されていることを明らかにした。法令の特典を享受して監査義務を免れ、被害額は〇四年だけで二十億レアルに上っている。政府の資金援助を受けるため登録されたNGOは二万九千団体もあり、中には公益団体でないものが多数含まれている。

 現政権下の十八省庁を通じて二十億レアルが、各種NGOへ交付されたとみられ、判明しているだけで保健省や教育省、社会開発省、国防省、運輸省、科学開発省が浮上している。さらに都市開発省、法務省、社会保障院などへは今年度予算枠以上の公的資金が支出された。
 団体の登録内容によれば、入札や活動内容に対する監査などの手続きが不要となっている。NGOの非営利公益団体という看板が、公金横領の隠れみのとなった。これら犯罪組織は前政権時代の〇二年、社会開発省、保健省、環境省、教育省の地方組織を狙い、当時政府が地方自治体向けに支払った公的資金の約半分、十四億レアルを横領した。
 会計監査が行われないため公的資金を交付された地方団体の犯罪の実態は不明とされる。政府資金の交付機関と第三セクターの間には、会計報告や活動内容の詳細報告義務などの制度が未整備であった。
 TCUのフルタード検査官は、全ての省庁と公社、公益財団法人の関連団体で同様のケースがあるとみている。特に多い犯罪手口は、議員と偽装NGOとの間で行われた不正取引と指摘した。ブラジルの連邦令で公的資金の運用はNGO団体の任意と定められたのが、犯罪の口実に利用されていると同検事が警告した。
 例えばヴァレラ下議が設立したミナス州のヴァレラ財団は、公的資金二千万レアルを交付されて、ムリアエ市にガン病院を建設した。同病院は一〇〇%国庫出資であるため保健省が、統一医療システム(SUS)による無料診療を要求したところ同病院は拒否、個人診療のみを行っている。しかし、現在もなお公的資金援助を享受している。
 検察庁は省庁と公社に対し、〇三年に第三セクターへ交付した全ての資金の流れを報告するように要求した。保健省が二億五千百八十万レアル、教育省が一億三千八百四十万レアルと折り返し報告が入った。最高額が予想される社会開発省は、目下集計中。
 環境省は傘下のNGO八十団体に十二億レアルを交付したが、その後の用途チェックはしていないと報告した。環境省には外国からも大口の資金援助があり、しかも未監査で使用できるので、NGOにとっては格好の隠れ家となっている。
 労働省管轄の労働者支援基金(FAT)は過去九年間に、公的資金を十億レアル享受し、累計では最高額の不明瞭会計となっている。FAT資金は労働組合や州労働局、サンパウロ州工業連盟(FIESP)などにも流れている。同資金は他にも、ルーラ大統領の友人である企業家多数が関係している。