6月23日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】中国政府は二十一日、ブラジル産大豆の輸出業者二十三社に対し、中国向け大豆の輸入禁止を解除した。政府から派遣された農務省のタダノ長官とその一行が行った、積載に際し行われたブラジル側の品質管理規格についての説明を中国政府要人が十一日、了承したためとされる。十一日以前に中国に向けて出港し、航行中の二十三万九千トンの大豆もブラジル政府が定めた新規格の検査対象となる模様。
ブラジル政府が定めた大豆の品質規格は直接食用に供する場合、農薬汚染大豆の混入許容量はゼロとし、輸出向けは一キロに対し一粒とした。これは国際規格に準じたものであり、中国政府もブラジル側の誠意を理解したと、ロドリゲス農相が説明した。今後出荷される大豆については、規格に基づいた許容量が認められるとみられる。
中国向けの大豆は、規格上の問題ということで幕が引かれた。ルーラ大統領も同返品問題に介入の意向を示したが、温家宝首相への電話には至らなかった。
フルラン産業開発相が提案した中国側の品質検査立ち会い人の常駐は、滞在費負担で合意に至らず具体化しなかった。中国向け大豆輸出は、当初予想の八百万トンから六百万トンに下方修正された。
大豆の国際価格引き下げ策略説について、農相は言及を避けた。顧客は王様であるという。農薬汚染大豆が混入した原因については、厳密に調査を行うらしい。これまでの情報では、植え付けが解禁された遺伝子組み換え大豆を、種子用に用いるため殺菌剤と発芽剤で処理、播種後、余った種子が投棄されずに生産物へ混入したと考えられる。
農薬浸けにした残余種子を、生産物へ混入した生産者を確認することは、不可能とされる。港湾倉庫に入った大量の大豆から、生産者を割り出すことはできない。次回植え付け時に、薬物処理された種子用大豆の残余種子の投棄を徹底する対策を施すしかない。
問題の大豆が積み出された南大河州の倉庫は、引き続き農務省が閉鎖している。衛生局が在庫大豆の残留農薬の影響について解明するまで、販売も流通も禁止された。農務省の予測では、同州内の在庫大豆に五百六十三俵分の廃棄種子が混入しているという。
これまでの調査では程度の差こそあれ、同州の全倉庫に保管されている大豆に混入が確認された。十一日に制定した新規格によれば、大豆は昆虫と残留農薬、廃棄種子の混入率を明示する三種類の品質証明書を添付するとなった。直接食用に供する場合、廃棄種子はゼロでなければならない。
南大河州の大豆栽培に携わる小農業生産者は、中国の大豆返品で大損害を被った。出荷時には一俵当たり五十ドルしていたものが、現在は十ドルにまで暴落した。しかも倉庫に保管されたまま、持ち出し禁止となっている。銀行には農業融資の期限が刻々と迫り、決済の道も閉ざされたままだ。