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コラム 樹海

 金鮮一さん殺害の報に韓国は大きな衝撃を受けている。首都のソウルでは抗議のデモがあり国民は悲嘆に涙する。しかも―である。人質である金さんの首を切断するというイラク武装集団の残虐なやり方が人々の心を抉り痛めつけた。この斬首のシーンは余りにも惨いので現地のテレビも放映しなかったそうだが、武装派の行動はもはや人の情を欠いている▼今や殺人集団と化した「タウヒード(神の唯一性)とジハード(聖戦)」を名乗る武装組織は国際テロのアル・カーイダと関係が深い。彼らのイラクに於ける行動原理は「反米」の一語に尽きる。日本の外交官やフリー記者が殺害されたのも根を突き詰めれば「反米英」に行きあたる。イラクで拉致された韓国人で殺されたのは金鮮一さんが初めてだが、この根底にあるのもやはり「反米」と見ていい▼韓国は医療などの人道支援のため七百人の非戦闘部隊をイラクに送っている。これに加えて八月からは治安維持を目的に三千人の戦闘部隊派遣を決定している。これは米英を除けば最大の規模であり―「反米」の武装組織としては、なんとしても阻止したい。事実、撤兵と派遣停止を韓国に要求し、これが受け入れられなければ人質の金鮮一さんを斬首するとの警告もしていた▼結果は―最悪となったけれども、盧大統領は「民間人殺害は非人道的なテロであり犯罪だ。韓国軍派遣はイラク復興のため」と非難し反論している。日米も同じような談話を発表しているが「テロによる目的達成はありえない」のである。    (遯)

04/06/24