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サンパウロ州 学力は先進国並み?=教育省発表とは正反対=改ざんありと関係者納得せず

6月25日(金)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】サンパウロ州教育局は二十三日、州内公立校の学力検定の結果を記した教育白書を発表した。それによると、生徒の学力は先進国並みの向上を示していると報告している。
 白書発表のイベントに出席したアウキミン州知事は演説で「満足な結果」だと讃辞を述べたが、より一層の改善に向けて推進すべき政策がまだあると課題を指摘した。いっぽうで関係筋は、今回の発表は不都合な部分やネガティブな個所を削除したり、ぼかしたりした一方的かつ不完全なものだと、一斉に反発している。現に今回の発表がポジティブなものに対し、十六日に発表された教育省の調査結果(本紙十九日付け二面)は、学力水準が最低基準をはるかに下回っていると決め付けている。
 今回の調査は、州政府の委託でカルロス・シャガス財団が昨年一年間、州立の初等および中等教育機関の全生徒の八九・四%にあたる四百二十七万四千四人を対象に行った。各校での記録や資料の調査のほか、国語の作文および読み書きのテストが行われた。一九九六年と二〇〇〇年には数学のテストが行われたが、何故か今回は除外された。
 調査結果は二十三日、州知事、政界、教育関係者などの出席の下で行われた。ガブリエル・シャリタ教育局長官は調査結果を踏まえて、第一学年の七五%、第二学年の九〇%が読み書きできるようになり、第三、第四学年のそれぞれ七五%、七九%がテストで五〇%以上の正解率だった。さらに第四学年の六八%が作文で五ポイント以上を取得した。また、基礎教育の最終となる中等第三学年では七〇%が五十点以上、七八%が作文で及第点の五ポイント以上になったとして「先進国並みのレベルに近付いた」と評した。
 続いて演説に立ったアウキミン州知事は、「満足な結果」だとし、生徒の不登校率が従来の一〇%から一%に減少したことに言及して、「この数字はスイスと同一だ。しかしスイスは人口も少なく裕福な子弟ばかり、これに反し、サンパウロ州は五百七十万人の生徒でそれぞれ生活環境が異なる」とし「向学心は評価に値する」と讃辞を送った。しかし、幼少教育の場、教師の待遇面など課題が残されていると指摘した。
 関係者とくに教職員組合の幹部は、実際に彼らが現場で聞いた事や調査と異なる結果だと強く反発し、州政府は本当のデータを公表すべきだとの態度を表明している。