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コラム 樹海

 学校の先生にもいろんな人がいる。生徒たちから好かれる先生。いつも文句を並べては嫌われる小言幸兵衛もいれば、物を言わない寡黙居士が元気一杯な学校もある。あれは奇妙なもので高校の頃になると、嫌いな教師の課目にはどうしても力が入らないことが多いらしい。そんな体験を持つ人々が世の中には一杯いるのだが、生徒らが最も困るのは個人的な考え方や思想を生徒に押しつける先生であろう▼愛知県の県立高校で起きた「イラク戦争」に関する試験が好例と言える。日本史の先生が「イラク戦争についてどう思うか」の問題を出した。これに対して生徒が「自衛隊派遣に肯定的な見方」を書けば点数は零点。「否定的」な回答には五点だったそうだ。この男性教師は模範回答として「他国に軍隊を送るのはいけない」「自衛隊派遣に反対」の文書を生徒らに配布してもいる▼これを知った愛知県教育委員会は「さまざまな考えを持つ生徒や保護者への配慮を欠いた不適切な設問だ」として学校側に配点を無効にするよう指示したという。イラクに自衛隊を派遣していることについての意見は「支持」「反対」に二分されるし、いろんな議論もある。この先生は模範解答を見るまでもなく「反対」であるのは明らかだ。教師が個人的にどんな思想を持つかは自由なのだが、それを教え子に押し付けるのは理想の教師像からは遠い▼真に残念ながら広島や三重県などにも、こうした先生が多いが「教育改革」の推進を急ぐべきは論をまたない。   (遯)

04/06/26

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