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燃料マフィア、ANPを侵蝕=監督官、不正燃料を看過=マフィア摘発議員に「死の脅迫」=不正燃料で年10億R$を脱税

6月29日(火)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ジウマ・ロウセフ鉱山動力相は二十七日、燃料マフィアが原油庁(ANP)に取り入り不正燃料を販売していることで、今後不正燃料の製造を認めないと発言した。不正燃料の年間売上高は千百五十七億レアルに達しており、監督管理が杜撰なため、不当利益と脱税の温床となっている。不正燃料の購入を拒否するスタンド所有者や議会調査委員会(CPI)の議員、警察関係者は、マフィアからの脅迫が日常茶飯事となっている。

 鉱動相は、ANPと癒着したマフィアの指示による市販の燃料への溶剤の混入を完全に認めないとした。燃料マフィアは司法府にも癒着しており、行政府のみの撲滅対策では限界がであることを認めた。燃料の供給市場は自由化されたため、価格競争で不正燃料や汚職、裁判所の買収など犯罪組織の付け入るチャンスを与えたのが、政府の懸念だと述べた。
 同相の指摘では、不正燃料は一部の企業に特殊燃料の混合を許可したことに始まるという。外国では用途別に燃料の混合が、一般に行われているが、いわばその悪用といえる。国内では燃料調合に関する技術が遅れ、特に法整備がない。そのような背景を踏まえ、新たな混合許可は認可されていない。
 不正燃料による不当利益と脱税は、長年の問題だった。CPIと国税庁は不正燃料による脱税額を年間十億レアルとみている。不正燃料に混入する溶剤は、燃料税が免除されている。燃料配給組合の計算では、二十六億レアルの脱税という。最低賃金を二百七十五レアルにしても、その差額を十分捻出できる金額だ。
 ANPでは五十一人の監督官が、四百二十八の燃料配給所と三万のガソリンスタンドを巡回検査する。少数のスタンドを除いて、ほとんどは不正燃料を販売している。ANPの監督官は、平均で月間一万レアルの看過料を着服する。
 看過料の支払いを拒むと、監督官は難癖つけて見せしめの罰金を課す。燃料マフィアは、ANP燃料配給局のクラウジア・バンデイラ副局長の夫パウロやセーザル・ラモスANP監督課長とつながっている。
 燃料マフィアを調査するCPIは、一向に調査が進行しない。CPI議員二十四人のうち十四人は、燃料マフィアと関係がある。燃料マフィアとの癒着を摘発する議員は、匿名で「死の脅迫」を受けた。
 燃料マフィアと悪徳議員、ANP監督官、連警関係者は、事前に一斉捜査を行うときの捜査メンバーや検閲場所、時間の通知を受ける。マフィアと関係するスタンドは、素通りする。
 米国シェル社は同社のサイトで、ブラジル市場は不正燃料の販売が横行し、燃料の質低下と不法営業による正規燃料の駆逐で、自動車市場の健全な将来が憂慮されるとしている。燃料に混入する溶剤は、ポンプに故障を起こす。プラスチック部品が溶解して燃料の中に混入するので、キャブレーターを詰まらせる。潤滑油に溶け込み、エンジンが焼き付く危険さえあると警告している。