6月30日(水)
【ヴェージャ誌】十二年の間に、二つの大事件が起きた。一つは八九年、ベルリンの壁が崩壊して世界に平和が到来すると思われた。もう一つは〇一年、九・一一テロ。世界は、どうなるのか。それよりブラジルは、どうなるのか、見通しについて著名人に聞いてみた。
[レアル・プランの立案者、エジマール・バッハ氏] 【レアル・プランが功を奏するのは、いつか】非正規労働者が少数派となり、輸出産業の好調とともに、国民が貯蓄に励み産業の運転資金が国内で調達できる時、経済成長が始まる。
【連邦令は完全を期したあまり、発展の妨げになっていないか】ブラジルへの投資で一番のネックは、司法制度。政府は権限で法令を公布するが、最も必要で欠落しているのが、発展のための現実的な法整備。
【通貨は安定したが産業部門が雇用を創出しないのは】非正規労働者の増加が、ブラジル経済の効率を低下させている。FGTSやPISで銀行の流通量を引き上げたが、企業に負担となって非正規労働者を増やした。労働と資金の需給関係を崩し、レアル・プランは、この点不完全であった。
[世界貿易機関(WTO)のペドロ・デ・カマルゴ・ブラジル代表]
【農業大国の使命とは】ブラジルの国土は肥沃ではないが、水と太陽という自然に恵まれている。ここに教育と技術、資金をつぎ込み、ブラジルの雄大なパワーを発揮することだ。
【世界の食糧基地構想は】まさに、その途上にある。設計図を修正しながら、ブラジルは前進している。
【開放経済と生産性は】数々の改革で生産性が、急上昇した。まず砂糖の自由化で、生産も販売も倍増した。農業の技術革新は日進月歩で、面積当たりの生産性が倍増している。
【遺伝子組み換え作物が、食糧危機を救うか】生産者だけが利益を得ると誤解されているが、安価で肥料の不要な作物や健康食品などが開発され、未来は明るい。
[親伯米国人経済学者アルバート・フィッシュロウ氏] 【グロバリゼーションは、南米に不利か】南米がグローバル化の中で生き残るために二つの問題がある。一つは国民の理解が得られるような解決策を、傍若無人な米政府に了解してもらうこと。二つは、弱肉強食で未調整なグローバル化の矯正を世界に求めること。
【下層階級は疲弊している。経済効果は、まだ表れて来ないか】インフレ抑制や金利の調整、輸出の三拍子は好調だが、残すは経済成長。それには公社の大型黒字決算と貯蓄による資金の国内調達が必要。経済効果は、それから。
社会政策の最大のネックは、貧富の格差が大きく社会改革の妨げとなっている。生活扶助制度の強化により「富の再分配」を促進し、教育振興と人材育成に尽力することが必要。