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独創とハイテクで=零細企業の延命作戦

6月30日(水)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】零細小企業がひしめき合い飽和状態の建設業界は、大企業の進出に押され、生き残りに狂奔している。延命術は、独創性と先端技術の導入にかかっているようだ。
 零細企業の一つ、クリンブ・テック社は二年前、足場の悪い高所作業の専門業者として時間短縮と原価削減、安全第一をモットーに発足した。在来工法では、十五人の作業員によって一週間かかって足場を組み上げた。それを三日間で完成する工法を考案した。
 同社は最近、オデブレヒト社から円屋根の塗装を落札した。従来の方法では百五十日かかったが、同社は三十五日で完了した。その他に高層建築の外壁の洗浄や塗装、鉄骨の組み立てや点検、工場設備の点検、空中ケーブルの架設作業などを工期短縮で下請けする。
 同社では多くの従業員が、趣味と実益を兼ねた職業だといっている。高所恐怖症でも毎日、登山で訓練するうちに恐怖感がなくなるらしい。多くの失業者が次々採用され、断崖絶壁で登山の訓練をしている。
 同社の平均給与は、月収二千五百レアル。海上勤務の場合は、五〇%の手当が出る。高所作業ではSENAIでもコースを設け、希望者を訓練している。
 新分野では、ドアの組み立てがある。ポルファシル社は、誰にでも容易にドアと戸口を組み立てられる方法を考案した。従来の工法は一セット一時間かかったが、同社は錠まで取り付けて四分で組み立てる。
 ソフト&スティール社は、鉄筋鉄骨のパテントを二万ユーロで購入した。同社はブラジルで採用した割安な職人を引き連れて、海外で落札した建築工事に従事させる。ポルトガルやスペインでは、数々の現場を同時に受注している。ブラジルでは八〇年代、建築不況の苦汁を味わったので国際市場にまたがる戦略を展開した。