6月30日(水)
来年のお正月には是非、参拝を――。昨年十二月、ブラジル国内で初めての神社として建立されたパラナ州ローランジア市のパラナ州開拓神社。神社があるパラナ日本移民センター敷地内で行われた十九日の慰霊祭では、来場した多くの人がしめ縄や賽銭箱といった日本ならではの光景を持つ同神社に参る姿が目に付いた。水野龍や鈴木貞次郎ら日系社会と縁の深い先人だけでなく、ブラジル人らも奉れた同神社。「来年の正月には、ここを開放して日本風にお正月の参拝をしてもらえれば」と建設委員長を務めた沼田信一さんは語る。
百周年に向け、日系社会の先人の労を感謝して奉ることで、新しい世代に一体感をもってもらおうと建立された。神社内には農業移民に欠かせなかったエンシャーダやマッシャードなど五種類の農具のミニチュア版が「神具」として奉納されており、一際人目を引く。着任したばかりで、初めて参拝した萩生田浩次クリチーバ総領事も神具に見入った後、恭しく参拝。日ごろは、日系人が多いロンドリーナ市から離れた場所にある同神社だけに、参拝者は少ないが、慰霊祭当日は数多くの人が参った。
沼田さんは「資金的に余裕が出来れば、社殿の前に狛犬なども設置し、より本格的な神社にしたい」と将来像を描く。
まだ認知度が低いために、参拝者が少ないのが悩みの種だが、来年正月には母国の風物詩とも言える「初詣」を体験してもらい、出来るだけ多くの人に足を運んでもらう考えだ。