7月2日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六月二十一日】殺人などの凶悪犯罪で刑務所に服役している受刑者に対して、公立大学の入学試験に合格したことで通学や就職が認められるという条件付き保釈処分が実行されていることから、入試の申し込みが増えている。さらにこれで更生への道が開かれたと認められると刑期の軽減にもなる処置がリオ州で適用されている。
刑務所内の教務担当は凶暴な囚人が〃向学心〃の芽生えで模範囚になっていることを評価し刑務所内の教育や施設を充実するべきだとの意向を示している。いっぽうで犯罪被害者や遺族からは〃人権の過剰擁護〃だとして犯罪者は刑期を全うして罪を償うのが当然だとの声も多い。現行法はこれを禁止しておらず、裁判所の判断に委ねられている。
当局によると二十日に行われたリオ州立大学の入学試験では、州内二十二カ所の刑務所の受刑者二百六十三人が試験を受けたという。受刑者の入試制度が始まった一九九九年から毎年平均五十人が受けてきたが、昨年は三倍強の百五十五人となり、今年は一気に増加した。
エジソン・テイシェイラ服役囚(四二)は誘拐殺人の罪で六十三年の実刑判決を下され、十年間服役しているが、今回哲学科の入試を受けた。「罪を償うため、刑期の少なくとも三分の一を全うして、その後作家として活動したい」と社会復帰に期待をかけている。刑務所の教務担当は、同被告は入所当時凶暴で手を付けられず二度にわたる集団逃亡未遂の首謀者だったが、勉強を始めてから模範囚になったと証言している。関係当局者は、大学に合格したからといって釈放や罪の軽減につながる訳ではなく厳重な審査が行われると言明している。
裁判所が認める条件付保釈とは、通学時間帯および学費、必要経費稼ぎの労働時間帯は自由に行動出来るが、夜は刑務所で一夜過ごすことになっている。この制度の反対者は、これでは州政府が無料の宿泊所を提供して囚人を自由にしていることになり、犯罪の再発防止の保証も対策も講じていないと反発している。