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野放し状態の生活扶助金=所得状況など把握せず=責任を地方自治体へ押しつけ=04年に扶助世帯急増

7月7日(水)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙六日】国民所得局(SNRC)のアンドレ・テイシェイラ長官は五日、政府の生活扶助制度は統制管理もなく杜撰なものであることを明らかにした。同制度は〇三年十月、諸省庁から大統領府で一括管理するようになって以来、扶助金受領家族の児童に対し就学状況や家族の所得状況について、照合が一切行われていないことが判明した。扶助金の管理は大統領府に一任されたが、その監査は地方自治体の責任とされたが実際には放任状態にあった。

 低所得層への生活扶助制度は前政権から始まり、児童の就学状況や家族の所得状況を三カ月毎に報告する仕組みとなっていた。新政権に移って、奨学金制度や食料補助金、食料カード、ガス補助金など諸省庁の各種補助金供与で混乱や重複が生じたため〇三年十月、大統領府で一括管理する集中方式に変更された。
 しかし、扶助制度の規則に従わない家族に関する調査と責任は、地方自治体へ分散された。なぜ児童が就学を放棄するのか。就学させるには、どんな問題が生じているのか一切報告がされてない。児童の健康と栄養管理は、従来通り行われている。
 生活扶助金は総計で毎月二億八千八百万レアルの支出を連邦カイシャ・エコノミカで行い、定期的に実態報告書用紙を各市町村へ配布している。市町村は学校を通じて三カ月毎に、連邦政府へ報告書を提出する義務がある。
 国民所得局は現行制度が功を奏していないとして、放任に至った経緯を調べ、新制度を考案するように大統領府へ要請した。政府は新制度を実施するために、世銀融資の千五百万ドルを充当する予定だ。
 未就学児童の監視や、扶助停止などの罰則制度を設けることを避け、政府は低所得層が自発的に生活向上に努める姿勢を期待している。
 応用経済研究院(IPEA)は、対策として所得格差の是正促進を提案した。
一世帯当たり五十レアルから上限を九十五レアルとする生活扶助金は、富の再分配に不十分とみている。
 現行の生活扶助制度は低所得層の人々に自発的な生活改善を促すものでなく、単なる差し水で終わっている。制度が設置された〇一年四月以来、管理システムが曖昧で、本来の趣旨が生かされていないという。
 一方では就学児童の急増と、現実にそぐわない現行制度で良とする大統領府のいい加減なお役所仕事を指摘する声もある。〇二年の第3・四半期には六二%の低所得層が登録され、〇三年の第4・四半期には九〇%と管理は好調であった。〇四年に入って一千百五十万人の児童が学齢期に達し、生活扶助を受ける世帯は四百十万世帯と急増した時点で混乱が起きているようだ。
 生活扶助を受領する世帯が多い州はバイア州の五十七万世帯、セアラー州の四十四万世帯、ミナス・ジェライス州の四十二万世帯。
続いてサンパウロ州、ペルナンブッコ州、マラニョン州、パライバ州、南大河州、ピアウイ州、パラナ州、パラー州、アラゴアス州、北大河州その他の順となっている。