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上院 会社更生法を可決=経済活性化へ布石=金融機関への債務決済を優先=裁判所の裁決早める

7月8日(木)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】上院本会議は六日、会社更生法改定案を可決した。政府は経済活性化に拍車をかけるため、経営不振の企業に更生の機会を提供する考えだ。経営難に陥った企業のために同案は、滞納税の決済前に金融機関に対する債務決済を優先すると規定を改定した。それから税法の一部も改正した。引き続き同案は、下院へ回される。政府は同案について下院でのお膳立ての段取りを、これから決める。

 会社更生法改定案の内容概略は、次のとおり。和議の場合、これまでは企業側が率先して不渡り手形と先付け小切手の決済を債権者と交渉し、残部は債権者が裁判所へ一任した。改定案は経営難の企業の窮地脱出のため、債務を一切裁判所の裁決に任せ、原則として和議を廃止する。しかし企業主と債権者が、法廷内または法廷外で交渉し、会社更生へ向けて努力することも認められる。
 破産の場合は従来、債権者が債務不履行企業に対し、裁判所へ破産申請を行った。裁判所は、破産企業による資産消却の防止と従業員保護に努めた。改定案は、計画倒産の意図がある企業の資産隠匿や持ち出しを防ぐため破産申請に柔軟性を持たせた。同申請は債務総額が、四十最低賃金以上の場合にのみ制限された。
 企業の資産凍結は従来、従業員受け取り未払い分、滞納税額分、裏書保証債務残高、決済済み不動産などが対象であった。改定案は三万九千レアル以下の従業員受け取り未払い分、抵当保証つきの銀行融資未決済分を対象とする。
 改定案で特記されるのは、経営難の企業の銀行債務決済を、滞納税額分の決済よりも優先したこと。銀行保護を優先することで、融資金利の引き下げと生産拡大、雇用創出を狙った措置とみられる。他に和議を廃止し法廷内か法廷外での合議を通じて、倒産という最悪事態を避けるとしたのも、ブラジルの商習慣としては画期的とされる。
 これまで和議倒産を申請して、裁判所から裁決が出るのに二十年かかった。改定案では会社更生案が六カ月以内に裁決され、企業債務残高の決済法について折衷案が提示される。この折衷案が企業によって実行されないときは、裁判所が即時閉業命令を出す。
 同改定案作成には、パロッシ財務相を中心とする経済スタッフが広い範囲に意見を求め、慎重に草案の吟味が行われた。五日の晩餐会ではPSDBの上議三人を招き、同案の下見と支持を求めた。野党上議はPPP案(官民合同プロジェクト)を除いて合意。
 PPP案は会社更生法改定案とペアで、政府が外資導入を取り込み起死回生を賭けた重要案件とされる。PPP案と関連する財政責任法(LRF)と入札法の一部改定は官房長官の差し金が強いとして、野党上議は敬遠した。
 ルーラ大統領は帰米以来、経済活性化のため外資導入の足場固めに奔走している。地方選挙を控え議員が遊説を掛け持つため、国会審議の根回しに支障を来している。会社更生法改定案は、昨年十月から表決を待っていた。順調に行けば法案の表決は二カ月で十分と大統領は踏んでいたが、議会の牛歩戦術に現在もヤキモキしている。