ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 警察庁長官が銃撃されて重傷のニュースは今も生々しい。出勤のため自宅マンションの玄関を出ようとしたところを狙撃された国松考次長官(当時)は危篤にも陥いったが奇跡的に助かった。犯人は拳銃を四発撃ち、三発が長官の腹部に命中するという前代未聞の事件である。あれは一九九五年の三月だから今年で九年と少しになる▼犯人はオウム真理教ではないかの見方はあったし参考人として聴取も行ったけれども、いずれも決め手となる証拠や供述がなく結局は不起訴となり「迷宮入り」が囁かれもした。殺人未遂の容疑で逮捕された警視庁の元巡査長・小杉敏行は、オウム信者であり事件直後の聴取に「自分が銃撃した」「短銃は神田川に捨てた」とも語っている。警察は捜索隊を組織し川底まで調べたのに遂に見つからなかった▼それでも―警察は執拗に捜査を続ける。この間に動員された警察官は述べ三十七万人。警察トップ狙撃という事件の特異性に対する刑事らの反発と意気地もあったかもしれない。こうした警察官の一歩一歩が「オウム元幹部三人逮捕」に結びつく。中でも小杉容疑者のコートに付着していた火薬成分が狙撃に使われた銃弾のものと一致したのが大きい▼最新の鑑定方法らしいが、これが証拠となる可能性も高い。尤も、狙撃犯は小杉容疑者とは別のようだ。坂本弁護士殺害などで服役しているオウム幹部の端本悟被告が実行犯ではないかの見方が強いが、謎の警察庁長官狙撃も解決に向けて前進したのは喜ばしい。  (遯)

04/07/08