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シュラスコが米国で人気=焼き手、給仕を「輸出」=米国人は肉の扱いに不向き=月給は4千から6千ドル

7月9日(金)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙六月十四日】ブラジルの代表的料理シュラスコがアメリカで好評で、市民のメニューとして定着してきている。それに伴って高度なサービスも要求され、これに応えるためにブラジルの専門店は、焼き手および給仕のプロを「輸出」している。彼らの給料は四千ドルから六千ドルとブラジルと比べれば破格だ。また、アメリカへの入国査証も〃アメリカの支店への出向きあるいは駐在〃用のビザで、エゼクティブ扱いとなっている。現在八十六人が渡米しており、さらに百五十人が狭き門を競って英会話や、肉やワインの学習に余念がないという。いっぽうでアメリカの労働法では六〇%のアメリカ人雇用が義務付けられているが、シュラスコ店では彼らは飲み物給仕や雑用で、重要な部署は全てブラジル人の「駐在員」が取り仕切っている。

 シュラスコ・ロジージオ(焼肉食べ放題)で知名度を高め、現在国内では四店舗営業している「フォゴ・デ・ション」は、アメリカのアトランタ、ヒューストン、ダラス、シカゴの四都市に支店を構えており、この四支店にブラジルから専門従業員八十六人を派遣している。彼らの月給は担当部署で異なるが四千ドルから六千ドルと「シュラスケイロ(シュラスコ・マン)」としては破格の扱いだ。同店ではビザ取得などの費用、航空代金、当座の生活費などの支払いで一人当たり一万ドルの出費となるが、サービスの為には「惜しくない出費」とし「アメリカ人は肉の取扱いに不向き」だと断言する。アメリカの労働法でアメリカ人を六〇%雇用する義務があるが、同店では飲み物給仕や雑用に使用している。逆にこれでブラジル色を出しているのが好評だという。ブラジル人はガウーショ(南部のカウボーイ)姿で勤務している。
 同店のブラジル国内の従業員は、月給六百レアルの肉の串刺しから修業が始まり(その前の床掃除は別)、一人前の焼き手や給仕になると月給が千五百レアルになる。現在百五十人の「派遣候補生」が、海外店への転出が目的で週三回の英会話、週一回の心理テストおよびワインと肉の専門知識講習に通っている。この狭き門を突破するため毎日肉とにらめっこしているのである。
 シュラスコは従来一種類ごとのアラカルト・メニューだったが、近年はロジージオ(食べ放題)が一般的となっている。同店もパラナ州の田舎の街道脇で長距離トラックの運転手相手にロジージオを始めたのがきっかけ。現在は国内四店で月五万人以上の来客があるが、アメリカの四店では八万人だという。国内では一人当たり約四十九レアルだがアメリカでは四十九ドル。ピンガのカイピリーニャは十二ドルだが、アメリカ人はワインを好むという。これで合計八十ドルになる。また昼食はやっておらず「アメリカ人は肉を食べるのは午後六時以降」だそうだ。メニューはブラジルと同じだが、鶏の心臓とクッピン(ゼブー牛のコブ)は食べないので出さない。ポテト・チップも「マクドナルドで食べる物」とされ、メニューから外されている。ブラジルからは検疫の問題で鮮肉を持ち込めないのでアメリカ国内イリノイ州で調達している。リングイッサ(腸詰めソーセージ)はアルゼンチン産。
 アメリカへの「ガルソン(給仕)輸出」が業界でも話題を呼び、同店には毎月二百人以上の他店のシュラスケイロが履歴書片手に求職に訪れるという。