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市議削減、経費は減らず=削減分は残りの市議にお手盛り

7月9日(金)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】国庫金融が専門のエコノミスト、ラウル・ヴェロゾ氏は、二十九日に上院で可決されたTSE(選挙高裁)案の市議八千五百二十八人削減(本紙一日付)により、国庫資金四億二千七百万レアルが節減されたとする政府発表を「紙屑法案」だと決めつける発言をして、注目を浴びている。
 同氏によると、市会議員の給料は州議会議員の七五%を上限とすることが法律で定められている。今回市議削減の対象となった都市では、削減に先んじて市議給料の値上げを決定したり、これまで予算不足で給料値上げを見送っていた都市では、削減される議員の給料相当分を現市議に振り当てる増給などしており、経費節減にはならないという。そのため同氏は、市議給与や手当てなどを抜本的に見直す必要があるとの見解を示した。
 サンパウロ州グァラチンゲター市では現在の十九市議から十一市議へと削減されるが、先月三十日に早々と五二%の給与アップが決定された。これにより給与は現行の二千五百レアルから三千八百レアルになる。さらに便乗値上げで市長は一万レアルから一万四千レアルへと、市役所従業員は一率四%アップとなった。ビラシカーバ市でも同様六〇%のアップで、市議は現行の四千六百レアルから五千七百レアル、市長は一万二千レアルから一万四千レアルへと給与が上がる。ボトランチン市では一五%、タクアラル市では五〇%の値上げが決定されている。ミナス州のベロ・オリゾンテ市でも五九%の増額決定で、市議の給与は四千五百レアルから七千百レアルになる。
 削減対象外でありながらドサクサ紛れまがいの値上げもある。カンポ・ボン市(リオ・グランデ・ド・スル州)では一議席増の十市議となるが五三%(三千六百レアル)の値上げ、また同州ポルト・アレグレ市では二議席増の三十五市議になるにもかかわらず、給与は現状維持の七千五百レアルとなる。
 政府決定の意を汲み取りカンピーナス・ド・スル市(リオ・グランデ・ド・スル州)やウライ市(パラナ州)などの様に給与を据え置く市もある。「優等生」はモジ・ミリン市(サンパウロ州)で、現行給与二千レアルから一挙に五百レアルへと引き下げた。同市の市議らは、「これで年間六十万レアルが節約となり、十人の医師と契約するか、二個所の保育園が新設できる」と胸を張っている。