7月13日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十一日】ルーベンス・リクペロ元財務相は十日、ブラジルで過去九年間、金融投資が生産投資よりも五倍の利益を上げたとして経済政策の偏重を指摘した。九五年から〇三年のDI(銀行間預金)ファンドの利回りは、一八・三%であったのに対し、生産活動による利益率は、僅か三・六%に過ぎなかった。過去十年間、高金利政策で金融経済を肥やし、生産経済を衰退させて空前の失業率をもたらしたのは、自明の理だと述べた。
金融業界は、税制面でも優遇された。生産業は製品に対して最高で六十一種類の税金を課されたのに対し、金融業では三十日以内なら六種類の課税に過ぎない。IBPT(税制企画院)の調査によれば、生産大手二社は過去五年間、利益の八八九%を税金として支払った。金融機関は同期間、支払った税金は利益の三六・六%に過ぎなかった。
サンパウロ州工業連盟(FIESP)のオラシオ・L・ピーヴァ会長は「生産経済あっての金融経済であり、生産経済を崩壊させるなら金融経済も存在しえない」と、金融のために生産を犠牲にした経済政策を非難した。政府は高金利で外資導入に専心する一方、重税を課し金融コストを引き上げたため、生産経済は未曾有の危機に瀕していると業界を代表して現政策の不合理性を訴えた。
一方、国際金融の目から見ると、税率は四番目の判断要因に過ぎないという。一番は国内市場の規模、続いて経済成長率、物流条件の順。国内総生産(GDP)に対する税収は九七年の二八・七一%から〇三年には、三五・六八%へ急増した。同時期の直接投資は三百二十八億ドルから百一億ドルへ急減した。
政府は〇三年に流出した外資の導入挽回に努めたが、流入したのは百二十億ドルに過ぎなかった。流出した外資を取り戻せないのは、税法と外資導入の法整備遅延が原因とされる。
外資導入に遅れを取った理由は他にもある。税制優遇と法整備を迅速に進めた中国に、五百七十億ドルを持ち去られたこと。ブラジルの法整備が改善されるなら、中国へさらわれた外資を取り返すことはできると関係者はいう。
FIESPは金融投資が、優遇されている事情を次のように説明した。仮に一千万レアルを五年間農産加工に投資すると、同期の総売上高を百七十一億七千八百万レアルとして、原料価格と生産コストが百二十四億四千五百万レアル。売上税(ICMS、PIS、Cofins)の二十二億二千三百万レアルをはじめ、原料と生産への課税、利益に対する法人税と社会保障基金などの税が総額で、四十二億五千五百万レアル。営業純益は四億七千八百六十万レアル、総売上に対する利益は二・八%。
同じ一千万レアルをサンパウロ市証券取引所で株売買に投資すると、木陰で昼寝をしていて同期間に平均配当率で一千四百四十四万レアルの利益が上がった。利回りは、一四四・四%であった。