7月14日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六月二十九日】フルラン産業開発相は輸出業務では三十年のキャリアがある。ブラジルの農産物輸出が記録的成果を挙げた背後に、中国の大量注文が大豆の国際価格を引き上げ、未曾有の大豆景気を醸成したことを認めた。
〇五年も柳の下にどじょうはいないと大豆生産者に警告しつつ、同開発相は次のように語った。中国のバブル経済が世界経済を支え、一次産品の供給国は全般に潤った。「中国のバブル経済が、いつまで持続するかは全く予測できないのだ。中国の先物市場は、すでに危険信号を発している」
ルーラ大統領は中国の温家宝首相と共に、G20途上国連合のけん引役を薦めた。この途上国連合は偶然ではなく、時代の必然として生じた。G20で中国の活躍が期待されている。
両国はパートナーとなれる条件がそろっている。中国の国内総生産(GDP)は大部分が工業製品で占められ、ブラジルはサービス産業だ。中国の耕作可能面積は全国土の七から一二%に過ぎないが、ブラジルは耕作面積よりも広大な自然林が広がっている。
中国は全て二十年計画で行動し、その中にブラジルも原料やエネルギー供給国として組み込まれている。他に新製品開発や技術革新、新興階級の生活習慣上の変化など、ブラジルと共通点が多く、ビジネス・チャンスを生むと期待される。
両国はジョイント・ベンチャーによって、それぞれの特産品を国際市場へ売り込もうとしている。ブラジルは中国で航空機製造を、中国はブラジルで鉄道などのインフラ整備へ意欲を燃やしている。
一方で目一杯の外債を抱えたブラジル経済を救ったのは、奇跡的に急増した農産物輸出だ。ブラジルは、この辺りで国内の態勢を整える必要がある。工業政策やブラジル・コストの削減、輸出回廊の整備、行政手続きの簡素化、官僚機構の能率向上、インフラ整備の促進、輸出金融、港湾設備や保管倉庫の整備などの問題が山積している。
大豆積み出し港に並ぶ大型トラックの行列は、もう長年の問題でありながら改善の様子がない。税関ストに備えた臨時要員、生産物の一時保管と倉敷料、保管中の目減り、港湾の設備不備による船舶の待機。外国では輸出品に対して輸出税を免除するが、ブラジルはCofinsを課税。
港湾への輸送や船舶への積み込みは、非能率的で前世紀の旧態依然なシステムが、まだ多数残されている。インフラの近代化の障壁には、官僚の意識にポルトガル文化の伝統的遺産もあるようだ。ブラジルが農業大国となり、世界の食糧基地となるために数々の壁を乗り越えなければならない。