ホーム | 日系社会ニュース | 在外投票率 伸び悩み=第20回参院選=低迷ぶり変わらず=聖領事館も「高倉効果」なし=形骸化する選挙権

在外投票率 伸び悩み=第20回参院選=低迷ぶり変わらず=聖領事館も「高倉効果」なし=形骸化する選挙権

7月14日(水)

  過去二番目に低い在外選挙投票率――。十一日に投開票された第二十回参院選の在外投票率が外務省から発表された。全世界で登録者数八万八百八十五人に対し、公館投票した人は二万五百五十一人。投票率は過去最低だった前回の一五・九三%は上回ったものの、過去二番目に低い二五・四一%に終わった。全世界にある百九十四か所の公館で実施された投票数でみると、千九百九十九人のサンパウロ総領事館は八百三十七人だった二位のニューヨーク総領事館を大きく引き離し、最多を記録したが、投票率ではフランスやアルゼンチンなどに劣る数字に終わった。

 一九九八年の公職選挙法改正に伴い、二〇〇〇年の衆院選から導入された在外選挙権。初回は二九・〇七%、翌年の参院選では最高の二九・九四%、昨年の衆院選では一五・九三%と三割に満たない投票率で低迷していた。
 世界最大の有権者を数えるサンパウロやニューヨークなど多数の邦人を管内に持つ公館で、初めて公館投票が導入されたことから、今回の参院選では投票数の増加が期待されていた。
 また、「在外邦人の声を国政へ」との旗頭を掲げ、自民党公認候補として比例区に立候補したパラグアイ在住の高倉道男さん(63)が、ブラジルを始めとする海外で遊説したこともあって、選挙への関心が高まるのでは、と関係者は見込んでいた。
 外務省が明らかにした世界百九十四ヵ所の主要公館別の投票数は、サンパウロが千九百九十九人、ニューヨークが八百三十七人、アルゼンチンが五百三十一人、ロサンゼルスが五百九人、フランスが四百八十四人などと続く。
 ただ、あくまでも郵便投票を除いての数字だが、公館投票数だけの率で見ると「大票田」のはずのサンパウロ総領事館の数字も決して高いとは言い難い。公館に比較的近距離に住む登録者が多いと見られるフランスは二〇・一%、アルゼンチンでは一八・九%とサンパウロを上回る。
 ただ、事前の調査で約七千人が来場すると見込んでいた同総領事館だが、マットグロッソ州までを管内に持つだけに、事実上投票に足を運べるのは百キロ圏内に住む八千人程度。これを元に弾き出した投票率は、二四・六%――。
 クリチーバ総領事館やパラグアイ大使館などは、数多くの邦人を抱えていながら、距離的な問題がネックとなって公館投票の利便性を享受できていないとみられる。
 また、地域別にみた投票者数では中南米が最多の四千百三十四人、欧州が三千六百八十三人、北米が三千四百人、アジアが三千百八十七人と続く。
 全世界で約七十万人のうち、登録数も約八万人に低迷する在外選挙――。今回の投票者数だけでみると、二・九%と極めて低い投票率になる。各関係者の働きかけで勝ち取った選挙権が形骸化している事実を、どう受け止めるのか。課題は多い。