7月15日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十四日】最低賃金の調整は国内総生産(GDP)の増加率に連動させるなどの議案を盛り込んだ予算基本法(LDO)が十三日、下院で可決された。ルーラ大統領が拒否権を発動しなければ、同法は〇五年度予算から適用される。最低賃金はインフレ率を上回り、二百六十レアルから二百八十レアル五九セントへ引き上げられる見込みだ。また、批判を呼んだ大統領専用機の新調も承認された。
下院は十三日、〇五年度から〇七年度にまたがる予算基本法(LDO)を可決した。同法は〇五年度の予算編成を行い、省庁予算を補充する基準となる。
物議をかもした大統領専用機購入の補足予算、一億五千九百万レアルも承認された。大統領専用機は尾翼に大きなPTの赤い星が描かれ、政府専用機かPTの宣伝用機か紛らわしいと、ひんしゅくを買った。
最も注目されたのは、最低賃金の調整をGDP成長率にリンクさせたこと。大統領が拒否権を発動しなければ、〇五年度の最低賃金は〇四年度GDP成長率に順じて定められる。
大統領は選挙公約の中で、最低賃金の購買力を倍増すると宣言した。〇三年度も〇四年度も調整は実質二%を下回り空公約となった。連立与党は通貨価値の引き上げで、所得格差の是正を行う方針としている。
LDOが大統領によって拒否されず最終的に発効した場合、連立与党は最低賃金の補足分を運輸関係のインフラ整備予算に確保していたCide(燃料税)の一一%、十七億レアルで充当する考えのようだ。しかし、インフラ整備予算の流用だけを、大統領は拒否するという憶測もある。
LDOは、基礎収支の財政黒字をGDPの四・二五%とする現行のマクロ経済政策の指標に立脚した。インフラ整備予算を経費からの除外で、国際通貨基金(IMF)の了承を得られれば、政府は議会の議決案を容認する可能性がある。
大統領府は上下水道の公共工事または公社の設備投資を、経費から除外してもらう交渉をIMFと行っている。八月に表決予定の〇四年から〇七年にわたるPPA(多年度投資計画)もPPP(インフラ官民合同プロジェクト)も、IMFの了承待ちで同ケース。
国会は十四日から八月二日まで、冬季休暇に入る。しかし、議員は地方選応援のため、八月は欠席が予想される。表決を急ぐ法案はPPAやPPPなどの予算案、会社更生法の残部、技術革新法、産業開発庁(ABDI)の設置、バイオ法、司法制度改革第二弾など大統領訪米の際に結ばれた海外投資家との約束を履行するための議案が多数ある。議会表決は、政府にとって緊急の課題なのだ。
一方、サンパウロ州議会でもLDO表決は、予算増額を要求するスト中の州立大の学生や大学職員の乱入で混乱した。ちん入者と州議員との間で、乱闘が繰り広げられた。しかし、州政府は可決に必要な票数プラス一票で、辛うじて予算案の承認を取り付けた。