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改善されない教育、所得格差=国連報告=GDP成長は合格点=対外信用度は世界ランク最下位=医療支出は12位で上位

7月16日(金)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】UNDP(国連開発計画)は十四日、世界百四十五カ国の人間開発報告を発表した。ブラジルは前政権時代の〇一年から〇二年の間に人間開発指数(HDI)ランクで五十九位から六十四位へと五段階上昇したものの、教育や成人の文盲率を考慮すると同ランクは六十五位から七十二位に転落した。他の報告内容をみると、医療支出は十二位、国内総生産(GDP)は国連加盟国の平均成長率を上回っている。ブラジル人の文化恩恵度は不均等で、文盲率が前年比で横ばい状態にある。

 国連発表に関係者たちは、少なからぬ衝撃を受けた。人間開発指数(HDI)は、国民一人当たりの所得と教育行政、出生率を含む医療行政の三要因からなる。ブラジルがランクを下げた理由は、成人の人材育成が進展していないためと考えられている。
 七五年から〇二年にGDPは三六%増加したが、HDIは二一%上昇したに過ぎない。国民一人当たりの所得が向上しないので、所得格差の是正はなかった。人材育成報告(RDH)では、ブラジルは百七十七カ国の下位に連なり、アフリカ諸国よりはマシな程度。反面、慰められる部分もある。加工品輸出に見られる高度の技術が、開発されたことだ。
 所得格差は、経済指数からみると惨め。裕福なブラジル人一〇%の所得が貧困階級一〇%の所得の何倍に相当するかを示す指数は、八十五倍となっている。ブラジルより下は、ナミビアの百二十八倍とレソトの百五倍、シエラレオネの八十七倍の三カ国だけ。
 最悪を一、最高を〇とする別の格差指数では、ブラジルは〇・五九一となった。下はアフリカの五カ国だけ。中南米では、ブラジルだけ。この屈辱的報告には、関係者も心を痛めた。貧困は政府が、取り組むべき重要課題といえそうだ。
 政府と民間の債務決済や資材とサービスの輸出総額で割り出す対外信用度は、中南米諸国ではブラジルが最下位。ブラジルは〇二年、政府と民間企業が抱える外債の元利決済総額が輸出総額の六八・九%に達した。同時期メキシコは二三・二%、チリは三二・九%。
 輸出では、少し安堵する。九〇年から〇一年の間、技術革新により加工品輸出の輸出全体に占める割合が、七%から一九%へ上昇した。メキシコの二一%や韓国の三二%、中国の二三%、米国の三二%に肩を並べ、南米では群を抜いている。
 医療行政ではGDPの三・二%に当たる予算を政府が支出したのに対し、民間は四・四%を支出した。世界の百七十七カ国中、十二位で上位にあるといえる。政府は統一医療システム(SUS)で大規模に医療行政に対応しているが、まだ初期的段階にある。医療費の総支出の半分を占める保健プランは、百五十億レアルとされる。
 映画やカメラ、ラジオ、テレビ、雑誌、音楽、ショーなどの文化活動は世界レベルにあり、八〇年の九百五十億ドルから九八年は三千八百億ドルのビッグビジネスに成長した。しかし、同業界を牛耳っているのは十三カ国、映画は米国が八五%。ブラジル独自の文化の保存は、外国文化に圧倒され遅々と進んでいない。